60歳からの視覚能力

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視野を広げて見方を変える

2006-10-04 22:47:36 | 視角能力

 左の図は中村義作「マンホールのふたはなぜ丸い」に出ている問題で、「aからeまでの5つの図形のうち他の図形と違っているのはどれか」というものです。
 ①は見た瞬間にa,②もcだとすぐ分かりますし、③もちょっと注意すればdと答えが出てしまいます。
 ところが④は同じようには答えが出ません。
 図形自体はどれも一つづつ違っているので、ほかと違った部分を持つものを探そうとするでしょう。
 そこで目に付くのはaで、ただ一つ外形が三角です。
 ところが外形での特徴といえばcは唯一つ外形が点線です。
 外形でなく中の図形に注目するとbだけが×で、eだけが□になっています。
 そうすると、他にはない部分を持つ図形はa,b,c,eと4つあり、どれが他の図形と違っているともいえません。
 そうすると答えはdということになるのですが、dは外形も中の図形も、他のどれかの図形と同じでdだけというものはありません。
 そうすると答えはないのではないかと一瞬思ってしまいます。
 
 ところが「dだけが持っている特徴がない」というのがdの特徴で、他の図形はそれぞれその図形だけしか持っていない特徴を持っています。
 したがってdが他の図形と違っているということになります。
 なんだかおかしな理屈だと思えるかもしれませんがそうではありません。
 dは他のどの図形とも共通部分を持っているのですが、他の図形は必ず共通部分を持たないものがあります。
 aとe、bとcはそれぞれ共通部分を持たない組み合わせとなりますが、dにはそのような相手はいないのです。
 いってみればdはケンカ相手がいないのです。
 ①から③までは同じ仲間をもたない図形を探す問題であったのですが、④は見方を反転させたものなのです。
 視野を広げて見方を反転させれば、素直に納得の出来る問題なのです。

 右の図は白いネズミの顔に見えますが、よく見ると真ん中が黒いネズミの顔になっています。
 さらにその黒いネズミの真ん中は白いネズミの顔になっており、さらにその真ん中が黒いネズミの顔、さらにその真ん中が白いネズミの顔という銃に描かれていることに気がつくでしょう。
 ここまではロシアのマトリョーシカのように次々と入れ子の中を見つけてきたわけですが、ここで視野を広げて見方を反転させると、最初に見た白いネズミの顔というのが実は大きな黒いネズミの真ん中の部分であることに気がつきます。
 画像全体が実は大きな図形の一部を切り取ったものだったのです。