60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

ストループ効果の仕組み

2006-10-14 22:36:37 | 視角と判断

 ストループ効果というのは、文字の読みでなく色を答えるように要求されたとき、つい文字を読んでしまったり、つかえたりする現象です。
 文字の意味と色が矛盾するとき、色を言わなければならないのに文字を読む癖が抑えられずにでてきてしまうのです。
 ストループテストは普通は5,6色を使っているのですが、図の上のほうの例では単純化して赤と青の2色のみにしています。
 この例で、最初は「あお」と答えるべきなのに「あか」と言ってしまったりするかもしれませんが、ちょっと慣れればスムーズに言えるようになります。
 色が5,6色ある場合はなかなかスムーズに言えるようにならないのに、この場合は楽に言えるようになるのはなぜでしょうか。
 
 この場合は文字の線が太いのと、文字色が2種類しかないということで文字の色が強く印象づけられるためです。
 文字色の種類が多いと色の名前がすぐに口に出てこないのですが、2種類なら判断に迷わずすぐ出てくるようになります。
 通常のストループテストでは文字の線が細いのでインパクトがなく、文字の色を判断するのに間が空き、その間に読み癖が出てしまったりするのです。
 この例では色のインパクトが強いので少し慣れれば、読み癖を抑えて色の名前を素早く答えられるようになるのです。

 下の例は色を4色にしていますが、色だけを見て色の名前を「コレ」と特定しにくいので見本を上の枠に提示しています。
 見本を良く見て確認してから下の枠の文字の色を答えてみたとします。
 最初はあまり素早くいえないにしてもほとんど間違えないのではないでしょうか。
 ところが1,2回やって少しなれてきてスピードが上がってくるとつい色の名前でなく文字を読んでしまうようになります。

 最初のうちはひらがなで文字数が多いので読みが瞬間的に出てこないので、色の名前を先に口に出すことが出来ます。
 ところがしばらくすると、おなじ文字を何度も見たため、文字の読みが瞬間的にできるようになりますから少しでも間が空くと、読み癖が飛び出してくるのです。
 文字色の判断スピードも少しは上がるのですが、長い経験を基にした読み癖の復活は抑えきれないのです。
 上の例では練習によって読み癖を抑えるようになったのに、下の例では逆に読み癖が出てくるようになるのです。

 上の例でも読み癖を抑えて色の名前が出てくるようであれば、前頭葉の抑制機能は健全に働いているのですから、一般的なストループテストのように線が細く文字色の多いものに熟達する必要はありません。
 文字の読みはせっかく築き上げた自動的過程なので、これを無理やり抑制する練習などすべきではないでしょう。