考えるための道具箱

Thinking tool box

◎Up-to-date me & you.

2009-04-21 22:45:50 | ◎業
■尊敬に値する。

部下のため、人のため、社会のため、とは言いながら、結局は自分のためのことしか考えていない人も多いこの世の中において、わたしが所属する小さい組織のメンバーは、全員といっていいくらい、組織のなかの自分以外の人たちのためについて考え、行動している。ということが、いまさらながらわかってきた。このことは尊敬に値する。高い敬意をもって讃えたい。
きっと彼らは、いやいや自分のことしか考えてないっすよ、というだろう。もちろん、ほんとうのところは私が知る由もないが、この慎みこそが、信頼の源泉だ。
人間である以上、自分を基点として、より近いものに優先順位がつけられるのはあたりまえのことで、そのことに抗うことはできない。意識、無意識を問わず、このダークサイドの存在を感じ、かつ畏れる人ほど、もっともらしいことを言わない、といえるかもしれない。
けっして狡猾ではないし、凡庸なんだろうけれど、このことを武器にする会社でありたい。Up-to-Date meにあたって、そんなことを考えた。

■武器、なんていうと物騒。

たしかに物騒だ。また「武器」であることを意識しだすとろくなことはない。よこしまな心は、さらによこしまな企てを上塗る。だから「戦略的にアピールせよ」というのとは少し違う。
ようは自然体のありのままに外部に接すればよいということだけれど、しかし、そんな弱いシグナルに気づいてくれる人は世の中にたくさんいるとは思えない。では、どうすれば、いま自分がやっていることの誠実さが、壁の高い他者に伝わるのか。その方法のひとつは、つねに偏執的ともいえる「深憂」をもつこと、その深憂を解消するために「かかわり」を徹底すること。いささか拍子抜けかもしれないが、答えはこれしかないような気がする。

■最悪の事態を心配せずにいられない。

そういうことだ。もう少しわかりやすく書くと「顧客が困っていないか、怒っていないか、送った書類が意向通りのものになっていたか、他社と新しい仕事を始めてはいないか、そんなようなことが心配で心配でしようがない。だから、とりあえず、なんやかんや用事を作って、電話してみたり、たとえわずかであっても時間をもらって訪問してみる」ということになる。そういった対話を繰り返し、コミットメント(かかわり)の機会を増やしていくことで、あなたがもっているパーソナリティは、きっと伝わっていく。逆に言えば、コミットメントすることでしか、キャラクターのもつ強みを伝えることはできない。

■まったくもってスマートではない?

確かにそうかもしれない。人によっては、俺はそんな気の小さい人間じゃない、情けない、と思うかもしれない。しかし、過去に数回行った耐久消費財の優秀営業マン調査では、確実にこの「心配性」というカテゴリーが発見できた。とりたてて交渉術・トークに長けたわけでもなく、知識が図抜けているわけではないけれど、顧客の心をつかみ優れた販売成績をあげている人たち。もちろん、「打ち解け力」「そもそも人好き」といった属人的な要素により支配される部分も大きいが、「極度に心配性」という負の性向が逆にプラスに作用している人たちがあきらかに存在する。曰く、「顧客と数日話していないだけで不安で夜も眠れない。だから、嫌がられない話材をひねりだし、できれば会えるような流れにもっていくために頻繁に連絡をとる」。なるほど、その気持ちはよくわかる。

■度合いはともかく誰にも潜在している性。

そう、こういうのは、多かれ少なかれだれもが感じる気がかりだ。そんな憂慮を、蛮勇をもって忘れてやり過ごすのか、ぐずぐず悩み続けるのか、それとも、とりあえずコマを動かさないことには何も解決しないと思い切るのか。斜に構えれば「動かさないほうが、いいときもある」なんて格好つけられそうだが、そんなので上手くいくのは、よほど高度で入り組んだ交渉の場合においてあるかないかぐらいの確率でしかない。動かしたほうがいいに決まっている。動かすことで、ダメダメになる可能性もなきにしもあらずだが、そんな失敗なら早めに学習しておいたほうがいい。たとえ細くても対話のルートさえつかんでいれば、いつでもリベンジできる。

■なんだか論理が飛躍している?

「慮る心」→「深憂」→「かかわり」と流れてきた。上手い具合に、言いくるめているような気もするが、なんとなく話はわかってもらえるだろう。そして、結局のところ、言いたかったのは「コミットメント」の大切さにつきる。言うまでもなく「コミットメント」は、「公約」でもある。とりあえず「声に出してみる」と流れはそっちに向かう。ちっちゃいプライドと我を捨てる巧いコミットメント、というものについて、思案してみるのもいいかもしれない。

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