そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

2月28日(土)

2009年02月28日 | 昔日記
 勝見充男『骨董屋の盃手帖』(淡交社)を眺めていて、つくづく盃は見立てなんだなと思った。最近気に入って持ち歩いているのは、「青蛾」で衝動買いした歪んだ堅手である。珍味入れにちょうどよいくらいで、燗酒の盃には少し大きいが、これで熱い米の汁を啜ると、酒の甘味がぐっと引き立つ(ような気がする)。盃によって酒の味が変わるのも、日本酒ならではということか? もっとも、これだけさまざまな盃を用いることができるのは、日本酒が透明な醸造酒であり、常温でも温めても、冷やしてもいけるし、また量もいろいろな飲み方ができるからだろう。燗酒には煎茶の茶碗が逢うのではないかな。黄檗山萬福寺にお参りして普茶料理をいただいた時に、売店で買ってきた、赤い木魚の絵がついた小さな煎茶用の碗は、いつか酒盃として使ってみようと思っている。老母が煎茶(三井古流)の師範の資格も持っているので、実家には煎茶器もたくさんあり、茶碗も1~2組貰ってきてあるが、萬福寺のはデザインも秀逸で、ぬる燗で試してみることにしようかな。そうそう、中国茶の杯で、面白いのを持っている。白い磁器の小さなコップ型だが、大中小3つが入れ子になっている。その日の気分と体調で、大きさが選べるというわけだ。これも酒盃によさそうだ。『教授の盃手帖』を、このブログでひとつ連載してみるかな。

 井上宗雄先生から新著『和歌 典籍 俳句』(笠間書院)を頂戴する。井上先生こそ、私が現在もっとも尊敬する研究者であることは、このブログで折々に書いてきたとおりである。本書は、今までのご著書に収められなかった随想類を中心にまとめられているが、重要な指摘が随所になされ、特に和歌研究者には必読・必携の一冊である。末尾には著述目録も付されている。ウチの研究室の院生諸君は、全員必ず購入するように。そして、新学期が始まるまでに、隅々まで読んでおくこと(以上、春休みの課題なり)。

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