そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

7月29日(金)影媛

2011年07月29日 | 公開

 馬場あき子氏作の新作能「影媛」を観に行く。国立能楽堂には開演30分前に到着。T氏に久しぶりにお目にかかった。この企画に深く関与しておいでらしい。同居人の同僚教授連の隣の席に座る。G前学長もお見えだったそうだが、お目にかかれなかった。

 狂言の歌垣シーン。懐から短冊をそのまま取り出して兼作の和歌を詠みかけるとは、いかがなものか。馬場あき子氏ほどのお方も、短冊の扱いをご存知ないと見え、ちと残念な演出であった。補綴のT氏のせいかな。まあ、彼が専門の時代には、詠歌料紙としての短冊はまだなかったからな。せめて三つ折りにして取り出せばよかったのに…。もっとも、現代短歌が織り込まれた狂言の細部にリアリズムを求めても、仕方がないか。

  …そうか、短冊の扱いもしらぬ付け焼き刃男という設定であったかも。それなら御免。  

 帰りがけ、雨が降っていた。出口のところで佐佐木幸綱先生とばったり。ご挨拶を申し上げる。パンフレットに寄稿しておられたから、お出でになったのも当然か。

 新宿まわりで帰宅。生トマトサワーを作って、オリーブを肴に一人さびしく飲む。