20数年前にアフリカの人にために木造でローコスト住宅を設計したが、その時のことを思い出した。
まずは、衛生的であること、費用があまりかからないことも大切だが、自分たちで修繕ができるように考えた。それでも手に入らないものが多かった。
結局、絵に描いた餅だった。
今回は、すぐに供給できることが一番だろう。とにかく早く。一刻も早く…。
そこで考えられるのが、被災自治体の要請による地元工務店による建築だ。
広い建設地を捜すと限られてくる。どんな狭い敷地でも仮設住宅が建設可能なら建設したいところだろう。
即対応ができるのは、実は、木造だと思う。全国のプレカット工場の対応能力は、コンクリートや軽量鉄骨よりもはるかに高い。しかも、即納可能だ。
そこで仮設住宅を建設する敷地対応の図面では、出来る限り、木材で作る。出来ないものをリストアップしてどんな図面でも共通して使える建材に変えていく。全国の建材店やメーカーに在庫や生産リストをインターネットでアップしてもらう。
その状況を被災した自治体が、地元の工務店と協議して即建設できる仮設住宅の図面が採用され、統一規格になる。
いま、1万棟、3万棟を即供給できるという業者はいない。でも、可能性はあるはずだ。
「敷地図」「図面」と「部材リスト」、「施工マニュアル」これらを揃えられれば、仮称「仮設住宅ネットワーク」を立ち上げて被災地につなぐことができるのだはないだろうか?
被災地での現場で不足した資材や道具も反映できれば、大手に負けないシステムができる。
海杉が考える「仮設住宅ネットワーク」とは
被災自体からの要請のみの受付で仮設住宅建設支援を目的とするもの。
構成は、設計事務所・建材・資材メーカー・プレカット会社・工務店など
被災自治体から「依頼書」と「建設予定地敷地図」が届く。その中には、予定戸数が、記載される。対応可能な設計事務所が、法的にクリアーした配置図と平面図を作成しアップする。
採用が確定すれば、即納可能な部材のリストアップと発送の手配、荷受け場所の確認などがでてくる。荷受け先を出来る限り、地元の建材屋さんや木材屋さんにしていただくとスムーズに行くのではないだろうか。
なぜ?木造にこだわるのか?
理由は簡単だ。ほとんどが木造でできるから・・・
仮設住宅を作ったとする。
畳を人数分揃えて、木製のベッドも付属品で送れば、床の上に寝ることはない。
建具も全て木製でできる。滑車や兆番が必要なだけだ。これだったら、被災していない建具屋さんでも出来る。
心配される断熱材も機密性が取れれば、プレファブよりも性能は格段に違うはずだ。
屋根材も防水紙の上に板でも法的な基準さえクリアーすれば可能だ。
多分、ガラスだけは、難しいだろう。
何よりも、東北の冬をプレファブメーカーは、想定していないのではないか?
東北の冬を想定する木造仮設住宅を・・・。