夢発電所

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コスモス20周年記念講演

2013-10-21 07:43:50 | 私と福祉とであいの旅
10月20日(日)11:00~

 十和田市、JA十和田本店にて、「コスモス20周年記念講演会」と祝賀会が開催されました。主催者は社会福祉法人 北心会で、私達の「生活リズムセンターノーム」よりも2年早くスタートした団体です。コスモスの主宰者宮本さんとは、青森県の「福祉夢プラン21」の同じグループのメンバーでした。結構長いお付き合いになりました。
 
 さて、われわれの法人はといえば、ノームから数えれば開設18年目です。あと2年で20周年かと、コスモスの祝賀会に参加しながら思っています。

 今回20周年記念講演があり、川崎市の明石洋子・徹之さんの人生を学んだ。「ありのままにあたり前に生きて」副題に「そして僕はひょうきんな公務員になった」というタイトルがついていた。

 この家族はほぼ私たちと同年代のご両親と、子どもの年齢なので当時のこの生き方はかなりハードだったと思う。というのも、「自閉症」そのものがまだ社会的に認知されていない時代で、子どもの行動上の問題はすべて親の責任と言われていた時代でもある。昭和54年に養護学校が義務化された。それまで障害程度の重たい人たちは学籍すらなかった時代がそれまで続いていた。そういう時代に、彼は普通学校と定時制に受験し、見事合格し、最後は公務員試験も合格したということになる。

 NHKの「新日本風土記」に、彼が紹介されたという。障害者の番組といえばNHK教育だが、彼はメインの番組で紹介された障害者だと母親が語った。家族の宝物の一つだろう、そのビデオ紹介があった。

 小さい頃から水遊びが好きで、他所の家にまで入り込んで親はそのたびに謝り続けたという。親の躾が悪いなど、苦情を言われ続けた。お母さんは薬剤師で、お父さんは食品会社経営。弟は東大の大学院まで出た家庭。そういう家庭で、彼は沢山の地域の人々を味方に、道を切り開いてきた。主治医や学校の先生方、福祉施設職員、地域の投書は苦情を言っていた市民たち。そういう方々に、理解してほしいという母親の願いを、手作り新聞で子とともに、配り続けた。
 母親の洋子さんも講演の中で、何度も子どもの首に手をかけたと語り、息子が無理に嫌がるしつけをした夫とも何度も離婚しようと思ったと、その辛い人生の一端をもらした。

 そして40年間地域でともに暮らし続けた現在、彼は就職をして20年目だという。老人ホームのディサービスセンターのお風呂場での掃除の仕事や、現在は川崎市役所の公園掃除などを生業としている。
 彼の好きなことを大切に守りながら、それをうまく仕事に活かすことで、社会の中に溶け込んでいるという感じである。母親・洋子さんが「思いを育て、思いに寄り添う」と彼の育児観を紹介した。自分で選べること、決めることができるようにすれば、彼は努力したという。IQ30程度という彼が、自分で「~したい」と思う気持ちを刺激し、「希望したら一緒に頑張ろう」と励ます母親。このことが現在のこの親子を形作っている。
 川崎市のマンションでは両親の部屋の隣に、彼の部屋を設けて独立した生活を体験させている。彼徹之さんが「結婚したい」という。すでに子供二人の名前も決まっているが、こればかりは本人が希望や努力をしても中々うまく行かないことらしい。
 この講演を聞いて特に感銘し共感したことは、障がいを持った人間ということではなく、人間・徹之さんがその個性として特徴的な行動を持っていると考えた点かもしれない。
 北心会理事長が挨拶の中でいみじくも語られた「昔は障害者などはいなかった。ただ子どもたちがいた」という表現かもしれない。今は少子高齢化という時代の中で、障がいを細かく分類し、その問題ばかりを強調して、一層生きにくくしている社会があるのかもしれないと思う。彼や彼女の「得意を伸ばす社会観念の構築」こそ、現代社会に必要な理念かと思った。

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2 コメント

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成田さんへ (りんご)
2013-10-23 15:46:00
「どんな病気でも必ず落ち着く(治る?)時が
きます。それまで焦らないで」
「この親だったらこの試練に耐えることができる
と神様が思ったから来たのですよ」

私が子供の病気でノイローゼになるくらい
悩んでいた頃言われた言葉です。
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りんごさんへ (なりたはるみ)
2013-10-28 06:39:30
子どもとともに、37年間を歩んで来ました。そしてそれはまだ続いています。いつまで一緒に入られるのかわかりませんが、もしかしたらこれが私達の幸せのかたちかもしれません。私のようないい加減な人間が、この子どもたちに育てられたように思います。
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