チャレンジドや高齢者が、元気と誇りを持って働ける国に
社会福祉法人プロップ・ステーション
理事長 竹中ナミ
「プロップ・ステーション ( 略称プロップ ) は、IT(情報技術)を活用してチャレンジド( challenged )の自立と社会参画、とくに就労の促進を目標に活動しています。
「チャレンジド」というのは最近の米語で、「神から挑戦という課題、あるいはチャンスを与えられた人」を意味し、障害をマイナスとのみ捉えるのでなく、障害を持つゆえに体験する様々な事象を自分自身のため、あるいは社会のためポジティブに生かして行こう、という想いを込めた呼称です。
私は、自分が重症心身障害を持つ娘を授かったことをきっかけに、この 33 年間多くのチャレンジドに出会い、ともに活動して来ましたが、娘が障害を持っていなければ私がこうした活動を始めることはなかったやろうな、と思うと、娘も私も「チャレンジド」といえると思います。
プロップでは、全国各地の在宅チャレンジドが、家族の介護を受けながらも、ITを活用し、「仕事人」を目指して勉強し、実力を身につけ、まだまだ少ない量ではあるものの在宅ワークに励んでいます。プロップの役割は、技術習得のセミナーを開催することと並行して、企業や行政から彼らの仕事を受注し、在宅でそれが行えるようコーディネイトする重要な部分を担っています。重度のチャレンジドが「何が出来る人か」「どれくらい出来る人か」を知らない企業や行政機関が、不安感を持たずに仕事を発注するためには、きちんとしたコーディネイト機関が介在し、その不安を取り除くことが必要です。また「チャレンジドゆえに安く使われる」ということのない、価格の打ち合わせなども重要な役割です。従って、プロップでは専従スタッフ以外に、様々な仕事のプロフェッショナルたちがボランティアとして参画し、チャレンジドの実力アップを支援し、また適切な評価を下さっています。産官政学民の広範な人たちが、それぞれの立場で、プロップの目指す方向にご協力を下さっており、大変ありがたいことだと思っています。
プロップのスローガンは「チャレンジドを納税者にできる日本」という「刺激的な」ものですが、私は「日本という国はいま、チャレンジドや高齢者の力を必要としている」という私なりの現実認識のもとに、あえてこういう「誤解を受けやすいスローガン」を掲げて活動を進めてきました。
長年、草の根で活動を展開してきたプロップですが、 1998 年 9 月、第 2 種社会福祉法人として厚生大臣認可を取得しました。既存の福祉観とは異なるスローガンを掲げ、なおかつコンピュータネットワークを活用するという、全く新しいタイプの活動が「社会福祉法人」として認可されたことに、時代の変化をしみじみ感じます。
高齢化と少子化が大変なスピードで同時進行している日本では、フルタイムで働ける人や残業もいとわない、という人がどんどん少なくなっていきます。そうした社会にあってなお、福祉的財源 ( 人とお金 ) を維持して行ける国であるためには、「一人でも多くの人が " 自分の身の丈に合った " 働き方で支える」という構造に日本の社会システムが変化しないと持ちません。
「働く」あるいは「働くことで誰かの役に立ちたい」という気持ちは、人間ならではの素晴らしい感覚です。日本が、「チャレンジドや高齢者が、元気と誇りを持って働ける国」になって欲しい、と同時に私の娘のような「働く」という形で社会貢献できない人間も、尊厳を持って存在できる国にあって欲しい!
そういう国にするために、自分もプロップの活動を通じて役立ちたい、と切に思う毎日です。」
1月11日に仙台市で開催された「福祉セミナー」でナミネエの話を初めて聞く機会を得ました。ナミネエは関西弁でめっぽう早口の吉本系キャラです。でも彼女の言っている重症の娘さんへの愛情とその価値観は共感できるものでした。「ゆっくりとした発達の中にこそ娘の価値がある」というようなことを、彼女は言っていました。普通の子供が普通の速度でできることを、生まれた時の制約のためにゆっくりとした速度で出来ていくことがある。その中にこそ普通の子供では味わえない、制約の人ならではの大いなる喜びがある。まさに私の娘たちと同じ体験を、親だからこそ体験できているのではないかと思っています。
社会福祉法人プロップ・ステーション
理事長 竹中ナミ
「プロップ・ステーション ( 略称プロップ ) は、IT(情報技術)を活用してチャレンジド( challenged )の自立と社会参画、とくに就労の促進を目標に活動しています。
「チャレンジド」というのは最近の米語で、「神から挑戦という課題、あるいはチャンスを与えられた人」を意味し、障害をマイナスとのみ捉えるのでなく、障害を持つゆえに体験する様々な事象を自分自身のため、あるいは社会のためポジティブに生かして行こう、という想いを込めた呼称です。
私は、自分が重症心身障害を持つ娘を授かったことをきっかけに、この 33 年間多くのチャレンジドに出会い、ともに活動して来ましたが、娘が障害を持っていなければ私がこうした活動を始めることはなかったやろうな、と思うと、娘も私も「チャレンジド」といえると思います。
プロップでは、全国各地の在宅チャレンジドが、家族の介護を受けながらも、ITを活用し、「仕事人」を目指して勉強し、実力を身につけ、まだまだ少ない量ではあるものの在宅ワークに励んでいます。プロップの役割は、技術習得のセミナーを開催することと並行して、企業や行政から彼らの仕事を受注し、在宅でそれが行えるようコーディネイトする重要な部分を担っています。重度のチャレンジドが「何が出来る人か」「どれくらい出来る人か」を知らない企業や行政機関が、不安感を持たずに仕事を発注するためには、きちんとしたコーディネイト機関が介在し、その不安を取り除くことが必要です。また「チャレンジドゆえに安く使われる」ということのない、価格の打ち合わせなども重要な役割です。従って、プロップでは専従スタッフ以外に、様々な仕事のプロフェッショナルたちがボランティアとして参画し、チャレンジドの実力アップを支援し、また適切な評価を下さっています。産官政学民の広範な人たちが、それぞれの立場で、プロップの目指す方向にご協力を下さっており、大変ありがたいことだと思っています。
プロップのスローガンは「チャレンジドを納税者にできる日本」という「刺激的な」ものですが、私は「日本という国はいま、チャレンジドや高齢者の力を必要としている」という私なりの現実認識のもとに、あえてこういう「誤解を受けやすいスローガン」を掲げて活動を進めてきました。
長年、草の根で活動を展開してきたプロップですが、 1998 年 9 月、第 2 種社会福祉法人として厚生大臣認可を取得しました。既存の福祉観とは異なるスローガンを掲げ、なおかつコンピュータネットワークを活用するという、全く新しいタイプの活動が「社会福祉法人」として認可されたことに、時代の変化をしみじみ感じます。
高齢化と少子化が大変なスピードで同時進行している日本では、フルタイムで働ける人や残業もいとわない、という人がどんどん少なくなっていきます。そうした社会にあってなお、福祉的財源 ( 人とお金 ) を維持して行ける国であるためには、「一人でも多くの人が " 自分の身の丈に合った " 働き方で支える」という構造に日本の社会システムが変化しないと持ちません。
「働く」あるいは「働くことで誰かの役に立ちたい」という気持ちは、人間ならではの素晴らしい感覚です。日本が、「チャレンジドや高齢者が、元気と誇りを持って働ける国」になって欲しい、と同時に私の娘のような「働く」という形で社会貢献できない人間も、尊厳を持って存在できる国にあって欲しい!
そういう国にするために、自分もプロップの活動を通じて役立ちたい、と切に思う毎日です。」
1月11日に仙台市で開催された「福祉セミナー」でナミネエの話を初めて聞く機会を得ました。ナミネエは関西弁でめっぽう早口の吉本系キャラです。でも彼女の言っている重症の娘さんへの愛情とその価値観は共感できるものでした。「ゆっくりとした発達の中にこそ娘の価値がある」というようなことを、彼女は言っていました。普通の子供が普通の速度でできることを、生まれた時の制約のためにゆっくりとした速度で出来ていくことがある。その中にこそ普通の子供では味わえない、制約の人ならではの大いなる喜びがある。まさに私の娘たちと同じ体験を、親だからこそ体験できているのではないかと思っています。