夢発電所

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人間を「芯から支える」とは・・・

2013-02-19 07:11:59 | 福祉について
 この「人間を芯から支える」という言葉が、いつの日か私の脳裏に刻み込まれている。私が15年間特別養護老人ホームで生活指導員として、リハビリ担当をしている際に読んだ本が確か太田仁史先生が言われたこの言葉であった。

 【リハビリの基本 : リハビリは、障害を自分の中に包み込んで生きて行く、自立していく、自分の生活を自分で組み立てて行く事が本来の目標である。
 だから、体についても病院のリハビリ訓練を受けるだけでなく、自分の体を自分の意志で動かすことを学ぶことが基本である。】

  この「人間を芯で支える」ということこそ、私たち福祉の道を歩むことを生業とするものの使命ではないかと思っている。
 それではこのことを「障がい者」に置き換えて考えてみよう。
 「自立・自律」という目標が「自分の意志」をまず大切にすることとすれば、対象者自身がそこに自分で望む生き方の選択がなければならないのだろう。しかし現実に目の前の障がいのある方々は、どのように生きているのだろうか。
 知的に障害があるということもバックボーンとしては大きいことではあるが、両親をはじめとして我々現場の職員も過剰介護をはじめ意識下で過保護な側面があり、それが彼らの自立・自律性を妨げてはいないかと思うのである。
 その結果彼らの失敗経験は減り、常に依存的な生き方を余儀なくしているように思うのである。失敗もなければ成功体験も少ない彼らは、自分の主体性を失い「指示待ち」の障害者像が、こういう所からも醸成されているのではないだろうか。

 私たちは彼らに自分の心の中の自分を意識させ、その自分の内側の自分が何を望んでいるのかを制約を取り払って表現できるように支援しなければならない。その次に、その自分が望んでいることの実現のために、まずすべきことを考えさせなければならない。それが具体化したとき、初めて彼自身の実行の時が訪れるのだ。
 支援者は「失敗は成功の母」という言葉こそを、その際にもう一度想起すべきである。失敗をして痛みを伴ってこそ、それは血となり肉となるのではないか。その継続の中にこそ、自分の人生の豊かさやオリジナリティがあるのだと思う。彼らの混乱を鎮めさせ、「もう一度やればきっとできるよ」という支援が、彼らの背中にある見えない羽根に筋力をつけさせてくれるのだ。
 遠いあの日、自転車を一人でこぐことができた瞬間を、もう一度思い起こそう!繰り返し転倒しながら、ふと気づくと自分が自転車をこいでいるあの自由感、浮遊感だ。それができて初めて彼は自分の世界を広げようと思いつくのではないか。
 なんどやっても逆上がりができなかったあの日、隣の友人が「できた!」と鉄棒の上で笑顔満面になった時の、できないでいる自分の思い・・・。みんな初めはそんな風ではなかったのか。
 チャップリンの「モダンタイムス」もしかり、人間社会の現実として、大きな歯車の中で部分にしか過ぎない自分の生き方に、ある時空しさを感じる人間像。障がいがあるとかないとかは関係なく、そこに自分の主体性と目標「どこに向かって自分は生きているのか」が、わかることこそが大切なのだと思う。
 来年度の私たちの目標イメージ「書を捨てよ町へ出よう!」だ・・・。 
 

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