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「第6回福祉セミナー in みやぎ」

2007-01-12 07:12:48 | 福祉について
 10~11日の二日間に渡り開催された「第6回福祉セミナー in みやぎ」(仙台市)に参加し、盛りだくさんのテーマと、さらに内容についても自分の求めていたものが実感され、満足して昨日帰還しました。
 初日の最初は今回の研修の主催者である宮城県社会福祉協議会 会長の前宮城県知事 浅野四郎氏が挨拶をしました。相変わらずの威勢の良いパフォーマンスと歯切れの良い舌鋒はますます健在振りを示していましたが、彼が県知事として掲げた「福祉日本一」という公約と、「船形コロニーを2010年までに解体する」という公約が、その後の最初の実践報告で3年間の実践経過が報告されました。
 それまで500人いた入所者の地域移行が3年間で253人(50%)に移行しているとのこと。そしてその移行した事例として、重度知的障害者の保護者からの意見が紹介されました。保護者の中には「こんな重度知的障害者を、住み慣れた安心の場所(施設)から何故今ごろになって地域に移行させるのか?」という反対意見もあるようです。そして県知事も変わってかなり政策的にはトーンダウンし、「無理のない地域移行」という形になって来ているようでした。しかしこの自分の子供を地域に移行させた父親からは、以前の自分の息子だったら地域の中で大変な思いをしていたが、この入所期間に子供も成長して落ち着きを見せていること。そして小集団のグループホーム生活を楽しく豊かに過ごせるようになっているのを見るにつけ、地域移行させてよかったことを実感を込めて語っていたのが印象的でした。500人もの大集団の障害者施設を国策で山の中に移住させたそのことそのものが異常事態であったことを思うとき、今回の障害者自立支援法でそれが大きく国策として進められるようになったことは、結果的にはかなりの前進という以外ないのかも知れません。この地域移行は保護者に障害者を返すというのではなく、地域で支援していこうという計画なのです。そういう意味では画一的、効率的な支援しかしてこなかった施設支援は、もう一度家庭的な規模に戻すことで、個別支援が充実するということを再確認しました。
 次に厚生労働省の障害福祉企画課長が12月26日に追加で改正通知を出した改善策を紹介しました。結局自民党の選挙へのダメージを可能な限り減らそうとしている、一時的な対策のような気がするものでした。今後二年間のためだけの改善策なのですから。
 そして最後のプログラムで「重度の知的障害者を地域で支えるしくみ(障害者自立支援法施行で保障されるのか?)」というテーマで2時間3人のパネリスト(北海道伊達市のコロニー「太陽の園」だて値域生活支援センター 所長の 小林 繁市氏・長野県のコロニー 西駒郷 常務理事の 福岡 寿氏・群馬県 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 総合施設長 渡辺次男氏によって進められました。いずれもコロニーのような大型施設の解体と、その入所者の地域移行の経過が紹介されました。北海道の小林氏はその中で重複障害者の人たちのケアホームの紹介をされました。私はこのことが最も知りたかっただけに、大いに関心を持って聞き入りました。重症児の親達から問い掛けられた「伊達市のノーマライゼーションは本物なのですか?学校卒業後の重症児には通う場も暮らす場もないのに!」を受けて、実現されたバリアフリーのこのケアホームは、7千万円の建設費(土地代も含む)だそうですが、伊達市が2千万円を補助したそうです。そして重症児も通える通所授産施設も新設されて、かなり重度障害者の先駆的な取り組みが実現されていることに感動しました。しかしながら、自立支援法の中での報酬単価は低く設定されており、障害認定が重度判定されている人だけの入所を進めないと24時間体制に無理が生じるという報告に少しショックを感じました。
 最終日の対談は福井県の松永さんと、大阪のプロップ・ステーション 理事長で通称ナミネエこと 竹中ナミさんの浅野会長との対談でした。上には上があるものだと感じたお二人のお話しです。松永さんも竹中さんもお子さんに障害があり、その子ども達のために社会福祉法人を設立しています。松永さんは10億円も借財を抱えているということですが、58種類の授産施設を障害者のために整備しています。
 ナミネエは障害の重い人たちの就労に、ITを使うことを思いつき、IT産業(マイクロソフト社ビルゲーツ社長)に働きかけてマイクロソフト社を力にした人です。ベッドの上でも家庭でもどこでも働けるのはパソコンだという発想で、成功しています。お二人に共通するのは、障害者のマイナス評価ではなく、できることを増やすことでした。障害者がきちんと評価されるように最高の技術を提供して、それをマスターさせることが成功への秘訣につながっているように感じました。障害のある人たちが本当に地域で暮らすためには、体験的に学べる社会実践が必要であることを熱く語っていました。私も本当に障害のある人たちが、地域生活を推進するための早道は、直に社会資源の中に放り込むことだと思います。そして、社会の馴染みになって行くことが一番の近道なのではないでしょうか。障害者だから負けてくれという、考え方は通用しない世界に入っていくこと。ほんまもんの力を身につけることが、成功の秘訣のような気がしました。もう少し時間をかけながら、このセミナーの整理をしてみたいと思っています。これから来年度の事業計画書を作成するのに、本当に良いタイミングのセミナーだったと思っています。
 

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4 コメント

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行政 (りんご)
2007-01-12 14:46:56
行政の仕方によって常に変化のある
運営では不安が付きまといますね。
何か安心できるやり方というものは
ないものでしょうか。
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りんごさんへ (はるみ なりた)
2007-01-12 15:01:17
 聖域をつくらないという改革をした人がいるのですが、聖域には本来障害者が常にいられる社会作りが今後の哲学として必要なのではないかと思います。景気の良不良で常に影響を受けるのは、福祉と環境だとよく言います。いのちこそ一番大切なのだという基本的な清治哲学が欠けている日本です。
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Unknown (すずきゆきお)
2007-01-12 21:30:09
障害のある人たちが地域の中で普通に生活していくことが必要だということを、私は成田さんのブログを通して少しづつ分かるようになってきました。
普段のマスコミの報道からは、なかなか実感できないことでしたので。
私達が一律的な価値観から多様性の価値観へと認識を
改めていくことでしょうね。
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すずきゆきおさんへ (なりた はるみ)
2007-01-12 22:28:34
 「最も弱い人を支えることのできる地域は、最も強い地域である」逆にいえば「ひとりの弱い人を切り捨てる社会はもろくて弱い社会である」とも言えるかもしれません。
 私達は生きることを懸命に続ける重たい制約者のいのちに寄り添った時、その重たい制約にも関わらずひたむきに生きようとするその懸命な姿に生きることとは何かを感じとることができるのではないでしょうか。
 わたしたち非制約者は、制約がない代わりに、いとも簡単にいのちを投げ捨てたり、いのちを犠牲にしてしまう世界を生きています。この重い制約者を私達は自分達の社会の鏡として、常にそばに置く必要があるのではないでしょうか。「見えないと思うことはない」というデンマークのことわざが、私達の社会のあるべき姿を示している気がしています。
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