夢発電所

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青森県と宮沢賢治

2012-11-21 08:25:21 | つれづれなるままに
11月20日(火)
 宮沢賢治の記事が東奥日報の「天地人」に掲載された。
 賢治の弟「清六氏」がいなければ、賢治の現在の評価もなかったかもしれない。妹トシもいなければ「永訣の朝」が生まれなかったように・・・。
 清六氏が歩兵第31連隊に入隊して、その演習場が鰺ヶ沢町にあったので入隊先の兵舎に賢治が訪ねてくることになる。鰺ヶ沢の「鳴沢駅」(1925年~)というJRの無人駅に、賢治も降り立ったのだろうか?賢治が花巻農学校(岩手)で教員をしていた頃だという。
 その8年後賢治は逝去する。37歳だった。その前日に弟清六氏を招いて「この原稿は皆お前にやるから、出したいところがあったら発表してもいい」と遺言されたという。清六氏はその後、空襲からその原稿を守って、遺言通りにその出版に貢献したのだった。
 その賢治も縁の鳴沢駅も、間もなく廃駅化の運命にあるらしい。


 『青森挽歌・春と修羅』より
  こんなやみよののはらのなかをゆくときは
  客車のまどはみんな水族館の窓になる
       (乾いたでんしんばしらの列が
        せはしく遷つてゐるらしい
        きしやは銀河系の玲瓏(れいろう)レンズ
        巨きな水素のりんごのなかをかけてゐる)

 
  りんごのなかをはしつてゐる
  けれどもここはいつたいどこの停車場(ば)だ
  枕木を焼いてこさへた柵が立ち
       (八月の よるのしじまの 寒天凝膠(アガアゼル))
  支手のあるいちれつの柱は
  なつかしい陰影だけでできてゐる
  黄いろなラムプがふたつ点(つ)き
  せいたかくあをじろい駅長の
  真鍮棒もみえなければ
  じつは駅長のかげもないのだ
       (その大学の昆虫学の助手は
        こんな車室いつぱいの液体のなかで
        油のない赤髪(け)をもじやもじやして
        かばんにもたれて睡つてゐる)


 童話「銀河鉄道」の中にも、その鰺ケ沢行きを彷彿させる場面が書き残されているのだ。

 

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