以前、 「フィジカル・グラフィティ」で書いたように、私とツェッペリンの出会いがあのアルバムだったのが功を奏してか、「フィジカル～」以前のアルバムを立て続けに聴いた記憶がある。当時の一時期の小遣いはすべてツェッペリンのレコード購入と化していたと思う。それと、私は偉そうなことは書いていても実は結構ミーハー(そんなことは分かっていらっしゃる? 流石です)で、ジミー・ペイジの大ファンだった。三大ギタリストなんていっても、当時はまだクラプトンの渋いフレーズ、ベックのその後のフュージョンブームを先取りしたテクなんて全く理解できず、何しろ、ステージで格好良いジミー・ペイジが大好きで、「天国への階段」のギターソロなど、女の子に受けそうなことは全て会得した(ベーシストの分際で・・・)。そんな訳で、「フィジカル」以前の1枚目から5枚目の購入順は覚えていない。ただ、やはりその中で一番感動した曲は月並みだが前述の「天国への階段」で、高校1年生の夏、男女混合で友人たちと出かける迄の僅かの間に、セミアコギター(残念ながら当時はまだギブソンは買えなかった)と「天国への階段」全曲耳コピを完成し、夜はしみじみと弾いて語ってみせた。感激してくれて(私の演奏にではなく、ツェッペリンの名曲に)涙を流してくれた女子も居たが、是非、原曲を聴きたいというので持参したラジカセとカセットテープをかけたら、私の歌はもういらないと言われ、流石に本物には適わないが私の生涯でラジカセに負けたことは本当にくやしかった。今では若い頃の良い思いでである。
おっと、話がセンチな方向へ行ってしまったが、レッド・ツェッペリンⅣはちょっと変わったアルバムで、タイトルは4つのシンボル文字になっていて、これはロバートプラント、ジミーペイジ、ジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・ボーナムのそれぞれの「シンボル」である。ツェッペリンのコンサートでも、稀にジョンはバスドラのところに、ペイジとジョーンズはそれぞれりアンプに、そして、プラントはPAアンプのところにこのシンボルマークが掲示されているので、誰がどのマークかということは分かるのだが、一方で正式なアルバムタイトルがないから、印刷物だと良く、このマークを出して表していたが、ラジオのパーソナリティは結構苦労していた。結局「フォーシンボル」なんていう言い方が非公式だが統一されていた。また、アルバムの構成も面白く、「ブラック・ドック」と「ロックン・ロール」で、後の音楽用語でいう「ヘヴィメタ」路線を思いっきり打ち出し、このノリで40分間ぶっ飛ばすのかと思いきや、3曲目の「限りなき戦い」はプラントのヴォーカルとアコースティックで一旦、コンセントレートしておいて、至宝の曲「天国への階段」である。それは新しいロックバンド(ロックだけに留まらない)としての王道を提示したかと思うと、B面は全くといって違う内容で、構成もなにもなく、統一感がなく曲が並んでいる。当初よりB面は賛否両論あったが、私も実は思いっきりB面否定派で、このアルバムは何度もA面ばかりを聴いていた記憶がある。また、当時は疑問に思わなかったが、前出のアルバムタイトルの「シンボル」の順番が、ペイジ、ジョーンズ、ボーナム、プラントになっていて、この順番は名前の頭文字の順番、(jimmy,john,john,robert)という見方も出来るが、そうではなく、レッド・ツェッペリンというのはジミー・ペイジのバンドだったのかということである。勿論、ミーハーとしてペイジは好きだったが、このバンドの4人の個性はそれぞれ強く、だからこそ、ロバート・プラントのバンドとしていたらどうなっていたのだろうかということを最近になって良く考える。だからこのバンドはドラマーのジョン・ボーナムの悲運な事故死により解散となった。記憶にある方も多いと思うが、ライヴ・エイドでジェネシスのフィル・コリンズが代役で叩いたが、ボーナムのロックドラムの代役は愚か、フィルともうひとり加えたツインドラムでもあのパワフルなリズムは刻めず、ボーナムが如何に音楽界で逸材だったかということ(同時にツェッペリンはフォーシンボルが揃わないと成立しない)を証明した。
映画「依頼人」でもこのアルバムのくだりが出てくるように、ツェッペリンは時が立っても再評価をされている。喜ばしいことであるが、唯一悲しいかな、あの映画作品で私はどちらかというと、スーザン・サランドンの方に歳が近いのである。
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