またまた随分長いこと更新が滞ってしまった。最近はこれに限らずブログその他のSNSではないウェブツールは殆ど使わなくなってしまった。一方的自己満足発信というのも実はあんまり悪くないとは思っているのだが、一方で、こういう類いは意外に時間がかかってしまうので敬遠してしまうのである。原稿自体はそんなに時間がかからないのだが、画像を探してきたり、或いはこのブログ内のリンクを探していることに殆どの時間を費やしてしまう。という訳で、そんなことを書いているから、また時間と文字数を費やしている。
ところで、久々の題材がこの作品レビューというのは訳があって、NHK以外は殆どテレビというものをみないのであるが、某通信教育企業のCMに、ストーンズの中でもっとも美しい曲"She's a Rainbow"が使われていて、でもわたくし世代といえば、この曲はiMacをとても印象付けることに成功した曲でもあるから、最初テレビ画面を見ずに音楽だけを聴いた際は、え、Macの新製品?と思ったほどだ。そのくらいこの曲は美しいMacのCMはドンピシャだったのだが、一方で、あれ、この曲ってストーンズのアルバムの中でなにに収録されていたんだっけと思いつつ、あ、まさか、あの残念な1967年の作品だったに違いないと気付き、実はこのブログでも再三書いたように、この作品には触れないと言ってみたものの、やはりとっても気になったので、敢えて、多分、CDで聴くのは初めてかもしれないが、CD棚から探しあてて聴くこととなった(思った通り、封を切っていなかった 笑)。
この年1967年はご存知のようにポップ音楽において大きな変革のあった一年だ。中でも一般的にはビートルズの「サージェント・ペパーズ~」の発表であるし、個人的には、ピンクフロイドのデビューである。そしてサイケ一色になった一年だった。そんななかでストーンズは音楽的にはまったくサイケにならなかった一方で、ライススタイルはサイケそのものになってしまい、結果、彼らの音楽活動は大きく後退した。しかし、ボブ・ディランとストーンズが今さら流行のサイケを追いかける必要なんてないというのが私の考えでもあったが(注ー無論リアルタイムではなく、結果論で申し訳ないが…)、その年の最後にまるでおまけのようにこの作品を発表した。多分、この作品はこの時代に併せた彼らなりの実験的コンセプトアルバムだったに違いないが、残念ながらそれはビートルズのような大成功にはならなかった。しかし一方でストーンズはこの作品を契機に、「米黒人ブルースへの憧憬」が薄れたのも事実だし、また、自作以降のことを考えると単なる曲を羅列したようなアルバムではなく、作品としてのアルバム作りを成功させるきっかけになった。それは、ビートルズの「ラバーソウル」からは2年ほどの遅れを取ったが、ストーンズなりの作品を作ることになった大きな転機になったのは事実である。
この作品を聴くと、改めて3つのことを感じる。ひとつはこの作品になぜ"We Love You"を入れなかったのか、入れていたらもっとセールスも良かったと思う。ふたつめは前述した"She's a Rainbow"は、やはりなんと美しい曲だということ。そして、もうひとつはブライアン・ジョーンズの楽器マニアぶりである。8分に及ぶ"Sing This All Together"では、当時はやりに兆しがあったメロトロン(イエスやクリムゾンより先に使っている)や、マリンバ、フルートなどはもとより、シタール、インディアン・ドラムといったエスニック楽器を多様していて、これは後々多くのロックミュージシャンが試みることになる先鞭になった。やはりストーンズは偉大だし、この作品を単なる好みでパスした自らを反省した。
こちらから試聴できます