すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

「美しいドーンの岸辺」

2019-03-17 22:23:19 | 音楽の楽しみー歌
 志(こころざし)の衰えている日には、イギリス民謡がぼくの慰めだ。そういえば、民謡ではなくて比較的最近の歌だが、「心が歌を忘れてすべてが辛くても~」という歌もあったな。あれはアイルランドだ。
 アイルランドにも「柳の苑生」とか「なつかしき愛の歌」とか「ダニー・ボーイ」とか「春の日の花と輝く」とか「庭の千草」とか、心に沁みる美しい歌がいっぱいあるが、こういう日にはぼくの好みはどちらかというとスコットランド民謡だ。「故郷の空」とか「つりがね草」とか「アニー・ローリー」とか「アフトンの流れ」とか。
中でも大好きなのが、「ロッホ・ローモンド」と「美しいドーンの岸辺」だ。
 これらを、ぼくのへたくそなマンドリンであっても、弾きながら歌っていると(本人は)たいへん気持ちよく、憂いが和らぎ、心が安らぐ。
 「美しいドーンの岸辺」は、ウイリアム・コールの「イギリス民謡集」に楽譜と歌詞が載っている。作詞は「蛍の光」を書いた詩人ロバート・バーンズで、作曲は1788年にチャールズ・ミラーによってなされたとされている(バーンズは有名な詩人だが、ミラーの方はどういう人か知らない)。
 ソ・ラ・シ・レ・ミの五音音階で、曲調も「蛍の光」に似ている。ただし、こちらは女性の失恋の歌だ。

美しいドーン川の岸辺よ、なぞえ(斜面)よ
なぜおまえはそんなにあざやかに花咲くことができるの?
なぜさえずることができるの 小鳥たちよ
私はこんなに悲しみに沈んでいるのに
花咲く野ばらの上で歌う鳥よ
お前は私の心を引き裂くの
過ぎ去った喜びを思い出させるから
二度と戻らない喜びを

美しいドーンの岸辺をたびたびそぞろ歩いたものよ
絡み合った野ばらとスイカズラをさがして
鳥たちはみな恋の歌をうたい
私も浅はかにも私の恋を歌ったわ
甘い香りあふれるバラの木から
幸せいっぱいにバラの花を摘んだのに
不実な恋人は私のバラを盗んで
私には刺だけを残していったの

 へたくそな訳なので美しさが伝わらないと思うが、残念だ。
 悲しい詞なのに、いわゆるヨナ抜き(長)音階に特有の伸びやかな明るいメロディーだ。五音音階は癒しの音階だ。
 ソプラノの波多野睦美がつのだたかしのリュートの伴奏で歌ったCD(「サリー・ガーデン」)がある。ぼくの子守唄代わりの一枚でもある。残念ながら、YouTube にはないようだ。
 ネットで調べたら、ドーン川の本当に美しい写真が見つかった。いつかスコットランドを訪れて、ローモンド湖とドーン川を尋ねてみたいものだと思ったこともあるが、いまから英語の勉強をし直すのは面倒くさい気がする。
 ぼくの願望はあまり強くはない。歌って気が晴れていればそれでいいかも。
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