すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

故郷の緑の草

2018-04-09 22:53:49 | 音楽の楽しみー歌
 ぼくのバンドでの演奏の2曲目は、日本の題名で言うと「思い出のグリーングラス」にしようと思っている。
 これも望郷の歌、ただし非常に特殊な状況での、まことに切ない望郷の歌だ。
 先にぼくの直訳を書いてみるから、ご存じない方はどう特殊なのかを推測してみて欲しい。

故郷の緑の草

列車から降りて見る 故郷の町は
何も変わっていないようだ
ホームで迎えくれるのは ママとパパだ
道のむこうを見ると メアリーが駆けてくる
金の髪と サクランボの唇の
故郷の緑の草に触れるのは 最高だ
 そう みんなぼくを迎えに来てくれる
 手をさしのべて やさしく微笑んで
 故郷の緑の草に触れるのは 最高だ

古い我が家は まだ立っている
ペンキは剥げ ひび割れているが
子供の頃に登って遊んだ あの古い樫の木もまだある
小径に沿って ぼくは愛しいメアリーと歩く
金の髪と サクランボの唇の
故郷の緑の草に触れるのは 最高だ

…それから僕は目覚めて あたりを見回す
灰色の壁に囲まれて
そして気付く ただ夢を見ていただけなんだと
看守と 年取った悲しげな牧師がいるのだから
夜が明けたら 彼らに腕を取られて ぼくは歩くのだ
もう一度 故郷の緑の草に触れるために
 そう みんなぼくに会いに来てくれる
 古い樫の木の根方に ぼくが横たえられるときに 
 故郷の緑の草の下に

 ぼくのつたない訳でもお判りいただけるだろうか?
 死刑囚が、夜明けには執行という前の晩、故郷に帰る夢を見た、というシチュエーションの歌だ。
 アメリカのカントリー歌手のポーター・ワゴナーという人が創唱して、でもアメリカではあまり流行らなかったようで、イギリス人のトム・ジョーンズがカヴァーしてイギリスで大ヒットした。その後いろんな人がカヴァーしている。You Tubeではエルヴィスやジョーン・バエズのものが聴ける。どれもそれぞれ素晴らしい。
 一番・二番は思いきり明るく、喜びに満ちて歌い、三番でがらりとトーンを変えて悲しみにあふれて歌わなければならないのが、難しいところだ。トム・ジョーンズは三番の前半を語りにしているが、ぼくはここは、この感情の落差を歌って表現してみたいものだと思う。

 日本では森山良子が歌ってけっこう良く知られているが、彼女の歌は、肝心の三番に相当する部分が全くない。だからただの能天気に明るい帰郷の歌になってしまっている(故郷に帰りついたら、望郷の歌ではない)。これはどうしたことだろう? 日本では死刑囚の歌は流行らない、と判断したのだろうか? まことに残念なことだ。

Green Green Grass Of Home

The old hometown looks the same
As I step down from the train
And there to meet me is my Mama and Papa
And down the road I look and there runs Mary
Hair of gold and lips like cherries
It’s good to touch the green green grass of home.
 Yes they’ll all come to meet me
 Arms a reaching, smiling sweetly
 It’s good to touch the green green grass of home.

The old house is still standing
Tho’ the paint is cracked and dry
And there’s that old oak tree that I used to play on
Down the lane I walk with my sweet Mary
Hair of gold and lips like cherries
It’s good to touch the green green grass of home.

Then I awake and look around me
At the grey walls that surround me
And I realize that I was only dreaming
For there’s a guard and there’s a sad old padre
Arm in arm we’ll walk at daybreak
Again I’ll touch the green green grass of home.
 Yes, they’ll all come to see me
 In the shade of that old oak tree
 As they lay me ‘neath the green green grass of home.
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