(明神が岳からの富士。手前の黒いのは金時山。怪童金時を抱く母なる富士、と言いたいところだが、白髪を振り乱した山姥のようにも見える。)
五十年も経つ間には
山はどんどん成長する
尾根は高く沢は深く
見上げる空は遠い
記憶の中ではここらは
陽当りの良い草原だったはずだが
雨にえぐられた赤土の溝ばかりが続く
今は凍っているからいいが
帰りは霜がとけてドロドロだろう
こんな所を降りたくはないものだ
それにしてもこの道は
こんなに長かったっけ?
どこかで間違えたんじゃないか?
・・やっと山頂にたどり着いてみれば
ここは小さなコブに過ぎない
谷を挟んでさらに高い山並
ぼくはもういちど
あそこまで行けるだろうか?
そのまたむこう遥か西に
白く輝くあの峰々は
南アルプスだろうか
ひょっとしたらあれは
西方浄土よりも遠いのではないか?
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