すべての頂の上に安らぎあり

今日はぼくに残された人生の最初の一日。ぼくは、そしてぼくたちは、この困難と混乱の社会の中で、残りの人生をどう生きるか?

夢の中の女

2020-05-31 10:02:00 | 夢の記
 まだ暗いうちに目が覚める。「そうだ、今日は出発するのだったな」と思い出す。「出かける前に海を見ておこう」と思い、暗い海岸に行く。潮が引いていて、いつもの盛り上がった海岸線の下に砂浜が出ている。その波打ち際まで降りる。黒い波に足をさらわれそうになる。「これは今満ちてきているんだ。気をつけなくちゃ」と思う。
 部屋に戻る道で仕事に行くらしいわずかな人とすれ違う。黙々と歩いている。部屋は大きな建物の一階で、広い部屋だ。じつは二階にもう一部屋持っている。そのうえ、その隣に女を住まわせている。上の部屋の荷物を取りに、そして女に別れを言いに上がる。だがぼくの部屋のはずのところには明かりがついていて、人の気配もする。「あれ、ここじゃなかったっけ?」と首をかしげる。だがその隣りは確かに、女を住まわせている部屋だ。
 合い鍵を使ってそっと扉を開ける。女は寝ていると思ったのに、あわてたような物音がする。誰かがカーテンの陰に隠れた。「あれ、ここの部屋、こんなに狭かったっけ?かわいそうなことをしたな」と思う。ぼくの女が、裸で、でも布で体を覆いながら振り向き、「出かけるの?」と訊く。カーテンに隠れたやつも顔を出す。見知らない女だ。「ああ、そういうことか。まあ、ぼくがこんなだから、それも仕方がないな」と思う。
 「ねえ、隣り、誰かいるみたいだけど、ぼくの部屋じゃなかったっけ?」と訊く。女は、「あら、あなた、もうとっくに引き払ったじゃないの。あなたの部屋は今は一階でしょ」と言う。
 それを聞いて、「ああそうだ。俺はとっくに出発してしまっていたのだった」と思い出す。
 「あの一階の部屋、君にやるよ。そこの彼女と住んでいいよ」と言っているうちに、自分の体が白い靄のようになって消えていくのがわかる。

 …これも、無意識の中で生と性と死に関わっている夢なのだろう。「女を住まわせている」とか「ぼくの女」とかいう発想がふだん無いので、面白いなと思う。むろん、ぼくには人に残してやれるような財産などないので、これも面白い。面白いと思うのは自分だけだろうが、人間は無意識のうちに何を持っているかわからない。
コメント
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