東京教組(東京都公立学校教職員組合)

教職員のセーフティーネット“東京教組”

まるで年金詐欺じゃないか!

2016年02月05日 | 日記

 「あなたの年金を増やすから私に預けてくれ」と言われたら詐欺だと思うでしょう。しかし、私たちが積み立てた年金がアベノミクスの株価引き上げに勝手に利用され、株価暴落で大損をしているという聞き捨てならない事態に至っている。
 国民年金と厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7~9月期に、中国を震源とした世界同時株安の影響から7兆8 8 9 9億円の運用損を出したことが明らかになった。さらに、1月の株価暴落で4~6兆円の運用損が見込まれると言う。老後の生活資金を詐欺師に持っていかれたようなもんだ。
 GPIFは昨年10月、運用資産の60%を占めていた国債を中心とした国内債券を35%に減らし、12%だった国内株式と外国株式をそれぞれ25%に倍増させた。外国債券も11%から15%に引き上げた。
 その結果、7~9月の資産別収益は、国内株式が4兆3154億円、外国株式が3兆6552億円、外国債券が2408億円の赤字となり、国内債券だけが3022億円の黒字だった。
 比率を引き上げたものは全て赤字で、引き下げたものは黒字という最悪の結果は、懸念していた通り。国民の老後の生活を支える年金を株式で運用する危険性をあらためて露呈したといえる。
 年金積立金運用方針の変更は、GPIFが買いに回ることで株価を上昇させたい安倍晋三首相の意向で決まったもの。アペノミクスがさも成果を上げているように見せたい政権の体面を保つために、年金積立金を危険にさらすことは許されるものではない。
 この事態に対して、日本退職者連合は次の見解を発した。

年金積立金運用にかかるGPIFの公表についての見解
 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は11月30日、本年7~9月期の年金積立金の運用結果が7兆8899億円のマイナスになったことを公表した。
 GPIFは昨年10月、それまでの国内債券中心の運用方針を見直し、国内・外の株式の比率をそれぞれ25%に上げることを柱とした資産構成割合を決定、実施に移した。その背景には、安倍政権が進める経済成長戦略の道具として、株式市場に年金資金を投人して株価を上げる「露骨な株価対策=官制相場づくり」との指摘が、各界および有識者から噴出していた。
 公的年金の資産運用は、国民が長期にわたり安定した給付が受けられるよう、長期を見据えて決められるべきものである。加えていえば、年金資産は被保険者・国民のものであり、GPIFは被保険者・国民の負託に基づき、その資産を確実に運用するのが目的であり、経済成長や株価操作に奉仕するものでなく、ましてや、政治が特定の思惑を持って扱うべきものでもない。
 私達はこうした基本的な考えのもと、連合と連携し、政府やGPIFの拙速・強引な手法に異を唱え政府要請行動を展開してきた。しかし政府は、株などのリスク商品を買っても、長期的に運用利回りは確保できると主張して実施を急いだ。
 今般の公表により、私達の懸念していたリスクが現実のものとなった。 GPIFがことさら強調するように、積立金は短期的に運用するわけではなく、長い目で見守る必要があり、当座の年金給付に影響はしない。マスコミがいう金利の低い国内債券ばかりに頼るのでなく、高い運用が見込める株式への投資を増やす考えも全否定するものではない。しか
し問題は、年金資産が被保険者・国民の財産ゆえ、「安全・確実」に運用することが最優先されるべきこと、また、そのための運用方針はすべてのステークホルダーの参画のもとで決定されなければならないと考える。
 日本退職者連合は、引き続き連合と連携し「運用方針は被保険者代表が参画する合議機関を設け、その決定を得て運用する」ことを政府に求め、その実現を期す。
                                       以上

(センリョウ)