富山マネジメント・アカデミー

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the rise of illiberal democracy

2016年12月31日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究;the rise of illiberal democracy、この言葉は、今日のワシントンポストの評論文から拾った。アメリカのメディアの大多数は、デモクラシーの発達には、科学知識をもつ知識人の役割、つまり、リーダーシップが欠かせないと考えている。だから、大衆迎合主義には抵抗する。そうした大衆迎合主義の政治家が、選挙で権力を握ると、そこの国の自由主義を基盤とするデモクラシイが失われ、非自由主義のデモクラシーが勃興してきた、と時代傾向が解釈されている。この枠組みの議論を究極にまで推し進めると、トランプ政権を頂点に、各国で自由が抑圧され、ネガティブな民族主義が統制する国家へと向かうという警告に繋がる。アメリカの民主党系の論客が好むグローバリズムでは、ヨーロッパにおける単一ユーロの運動が、狭い地域内での個性的で、保守的で、伝統的な「不易流行」の対抗文化を取り込めなかった負の側面を反省から学べないことになる。歴史は、ある主張が単純化することで硬直し、行き過ぎが是正される。だから、グローバリズムの単純化、硬直化の行き過ぎが10年から30年たって、今は、その逆に、世界で狭い地域社会を再創生する時代へと転じてきた。

大事なのは、自由だとか、民主という言葉の信仰ではない。今や、ツーリズムが、世界各地のオリジナルな地域限定の文化の維持を促していることを踏まえるならば、ツーリズムに含まれる多義性から啓発される世界観が欲しい。アメリカの民主党の論客のアイデアの貧困が、地域に生きるひとの共感を疎外したという反省なしに、illiberal democracyという言葉を言葉として普及させようとしても、地方文化は、世界どこでも域内の「非自由」な狭小な消費構造のうえに成り立っていることを調べ直して欲しい。ともかく、最近のアメリカの人文・社会科学は、定式化が進み、大きな停滞期に入っている。僕は、トランプ現象よりも、アメリカの学問が、すでにこの10年、新鮮さを失ったことが残念だ。 illiberal democracy不自由の国家である中国の知識人は、共産党のおかげで大衆迎合を免れているので、思索が練れており、中国では、次世代の人文社会科学者は面白い挑戦をしている。趙璐『中国近代義利観研究』中国社会科学出版社、2007年は、正義と利益の関する孔子の学説が近代社会にどのように作用したかを検討している。中国が社会主義という隘路を選んだのは、正義の重視ではなく、農業社会における商業的利益を抑制する「義利観」が関係していると読み解ける。アメリカも正義論は、聖書の文化のように、形而上に終わり、対話による巧みな誘導に堕落した。中国では、歴史の豊富な素材があるから、 illiberal democracyのもとでも、とても善い作品が出てくる。

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