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政治談議でモノを考える悪いクセ

2016年12月17日 | Weblog

TMA講師:世の大人には、ある種の脳力の限界に気が付かないひとがいる。高齢者になっても、政治が歴史だという単純化から免れていない人たちがいる。政治が大事なのは、まず、国家指令型経済原理の効用にかかわる公共投資の質的、量的な拡大である。それには、税収の伸びしろが説明変数となる。税収は、市場経済原理の効用が最大化したときに増収に向かう。このとき、税の制度が硬直していると、ほとんどありもしない陳腐な贅沢品への高い税率など、指令型経済原理が市場経済原理との間でミスマッチを起こしている状態が長期化すると、閑散な市場から多くの税収を期待し、盛り上がっている新製品の市場には低税率が掛けられる。こうした問題は、専門の官僚が議論をリードするべきであるが、政権政党の税制調査会という仕組みで、業界との利益の調整が行われる。だから、市場経済原理において、国内総生産が最大化しても、指令型経済原理の基盤となる税収効果が最大化しない。

ところで、2016年は法人関係の税収が想定より落ち込んだ、原因は、年初からの円安である。主な日本企業は、すでに脱日本を遂げている。だから、真の利益は世界の現地通貨か、国際通貨である米ドルによりストックされている。円安になれば、日本企業の海外にストックされたマネーは国内に還流し、円表示の企業収益を押し上げる。この自然の市場経済原理が世界史の柱である。こうした経済分析の基礎が理解できる人は、少数派である。新聞でいえば、日本経済新聞を読みこなせる人材は、圧倒的に少数派である。

大多数の国民は、地球上の椅子取りゲームには熱心である。明治維新の前夜から、日本人はかなり広範に地球上の勢力圏に関心を寄せていた。日本が日清、日露の戦争、さらには泥沼の中国との戦争、最後は無謀なアメリカとの戦争、誰が戦争遂行者であるか、まぎれもなく大多数の国民の熱気のなせるわざである。特に新聞メディアは、明治以来、その国民の熱気を市場として戦争報道をバネに情報産業として成長してきた。ところが、市場経済原理からみると、新聞広告の収入が激減している。メディアの中心は、インターネットに移行している。可処分所得をもつ消費市場の主体は、完全に新聞離れをしている。こうした消費社会の変化は、インターネットが創りだした「新しい地球市民化」へと向かっており、世界各国の国民国家の枠組みへ回帰する土着化とのあいだでも、激しい論争の時代へと移行している。もはや、60歳以上の大多数が主役となれる時代は過ぎ去るべきだが、依然として政治談議でモノを考える悪いクセに育てられているため、見直しがきかない。しかし、時代の主導権は「新しい地球市民化」にあり、日本はその先進モデルになれる可能性をもつ地球最大の、抑制された国民国家として成長する余地がある。東京都政への都民参加、地域ボス型政治の克服、いよいよですね。

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