富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

安倍政権の耐用年数を予測する

2016年12月10日 | Weblog

TMA講師代表の個人研究:安倍政権の最大の利点は、経済産業省の世界戦略を基軸としていることである。そのためにTPPの重点を置き、さらにロシア外交に力点をおき、さらには法人税の引き下げなどの企業政策を重視してきた。安倍政権の最大の敵は、官僚集団の主流はである財務省であり、東大を中心とする超エリート集団である。

自由民主党の総裁の任期を延長したから、安倍政権は長期政権として耐用年数が制度的には最大になった。しかし、トランプ新大統領に最初に合った国際政治家としての話題で人気を保ったが、ロシア外交、TPP戦略は、経済産業省に軸足をおいた安倍政治は基本的にシナリオが破たんした。にもかかわらず延命できるのは、野党に政権担当の脳力がないことである。民進党の野田幹事長は、財務省のトロイに馬として利用され、政治生命を失っているが、伝統的な財務省の力を信奉し、安倍政権に敵対する官僚集団と内通している。

問題は、経済産業省であれ、財務省であれ、あるいは外務省であれ、官僚集団の内部において、日本国という経営主体が、軍事戦略・戦術・情報に軸足をおく「戦争遂行力のあるロシア、アメリカ、中国、イギリス・・・北朝鮮、韓国」という古典的な国家群に対し、日本が「戦争権を放棄した」特殊な新型市場国家として、何を目指すのか、その世界戦略の図が描き切れていないことに問題がある。その意味では、財務省はハト派、経済産業省はタカ派である。もしタカ派が勝とすれば、TPPの実現、中国の同盟国であるロシア外交、この重要施策に成功しないと、経済産業省がリードする安倍政権の賞味期限は、2017年の1月にキレる。解散総選挙に踏み切り、財務省ハト派の嫌がる改憲風潮を高めると、耐用年数は大幅に延長する。

対外戦争能力のある武装国家群に取り囲まれている国際環境のなかで、「第9条を墨守」することは日本企業の国際環境にはプラスだと考えるハト派を斥け、世界を2分割する日米同盟に基軸を置くタカ派の現実主義が、現実の利益をもたらすには、トランプ政権の耐用年数4年、実質3年の行方を占うことになる。つまり、アメリカを説明変数とする相関性の問題に帰着することになる。アメリカのメディアは、リベンジをすでに始めている。


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丸栄運輸機工㈱の特殊な技術

2016年12月10日 | Weblog

TMA講師代表:一般に運送屋といえば、トラックでモノを運ぶという物流企業に過ぎない。けれども、富山では、機械工業が発達し、受注生産された機械を輸送する仕事には高度な技術を必要とする。まず、機械を製造した企業のなかにおもむき、そこで図面と照合しながらパーツごとに解体の作業を行う。それを運輸企業の倉庫で保管し、発注先の工場の受け入れの日時に合わせ運びこむ。普通の運輸業ではここまでで業務終了となる。

丸栄運輸機工さんは、そこから図面を見ながらパーツを組み立て、機械を試運転し、生産ラインにマッチングして稼働するまでの立ち上げをもって業務が完了する。だから、普通のトラック屋さんとは異なる。機械産業からみれば、顧客サービスのためのロジスティクス・マナジメントを代行してくれる企業となる。

丸栄運輸機工さんの課題は、2つある。1つは、自らが営業して受注量を拡大できないことである。主なメーカーである不二越が受注量を伸ばせば、丸栄さんの受注も増える。このボトルネックを解消するという課題がある。それには、運び込んだ納入先の企業との営業チャンネル拓くコンサルティングの能力を磨くことである。納入し試運転した機械のアフターケアーを無償で行い、生産ラインのなかでのマッチングや、改善点を発見し、解決するための脳力が求められる。もう1つの課題は、最近注目のIT技術を駆使した情報技術への対応である。これは、富山の機械産業の最大のネックである。

おそらく最新のIT技術による生産工程管理と自動化のための技術課題に関し、愛知県のDMG森精機と比較すると、横綱と序二段くらいの差がついている。この落差は、10年後には決定的な落差となる。だから、丸栄さんが、川上に富山の機械産業だけをおいていると、ローコスト、低価格帯の機械運輸サービスという狭い市場に追いやられる。丸栄さんは、三菱重工系のフソウのバス会社との連携があるので、愛知の機械産業を川上として、全国でも広島や、東北方面を川下とする戦略の再編が期待される。それと、単純な機械単体ではなく、ITによるリレーショナルな機械におけるプログラミングを得意分野とする工業高専の役割に注目する必要がある。資産の保全は人財にあり、勝負は納品先の企業の高度なIT技術の要求に応じられるか、否かである。

少し厳しい経営評論を書いたが、機械と情報、つまりロボットに強い学生には、伸ばせる企業であると推薦できる。会長の高木武男さんは、それだけの度量のある人物である。また、不二越の油圧系のロボットは、パワーの強いロボットなので、精密機械工業よりも、大型機械の生産ラインに適性がある。丸栄さんはが、富山の機械産業にとり、納品先のアフターケアーを含む提案型の営業が出来たときには、富山版の日立物流になれる。これから10年の富山の産業の浮沈がかかっている。意欲ある学生の挑戦を期待したい。

 


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