富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

台湾の独立論は、世界史への貢献度が低い

2016年12月05日 | Weblog

TMA講師代表:中共中央が実効支配する中国大陸の現状にたいし、台湾島の独立は、世界への貢献度が低い。なぜなら、中国大陸の現状変革にとり、台湾は、ソフト・パワーによる大陸改革の大きな前進基地であるからだ。もし、独立すれば、世界の各国は、中国か、台湾かの二者択一を迫られ、世界戦争の新たな火種となりかねないからだ。中共中央が、一つの中国にこだわっているのは、長い目で見て、中共の政権が永久に持続するとみているからだ。しかし、中共も党内に複雑な派閥がある。台湾人が大陸にもつ影響力を活用し、習近平政権の中枢にある浙江グループもなりたっている。

それ以上に残念なのは、台湾の民進党がもっている政治哲学は、「孫文の外」である。曲がりなりにも、中共中央は、「孫文の内」にある。台湾の国民党が、「孫文の内」なる非マルクス主義の社会主義を深く理解できていないから、台湾での国民党の劣勢が生まれた。孫文の社会主義は、経済学的には制度学派である。戦後日本の福祉政策も、制度学派経済学が基本である。台湾は一つの中国に取り込まれているが、中央銀行をもち、台湾ドルという地域通貨を管理運営している。アメリカ・ドルとの互換性をを失っていない。また、孫文はキリスト教と儒学とが混合した哲学を持っていた。この孫文主義の原点は、中国共産党の歪みや独善を排除するための理論を立てる貴重な基盤となりえる。

僕の書いた「孫文の経済学試論」(法律文化社)は、台湾の日本語を読める人たちに再読されているそうだ。いずれにしても、台湾の国民党が孫文主義の原点に立ち返らないで、政治哲学の深みのない民進党に敗れ続けるならば、それこそが人類の王道に反する。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする