新幹線が東京-新大阪間で開業した昭和39年10月当時「ひかり」「こだま」とも全席指定だった。こだまに年末年始限定の自由席ができたのはその年の暮れ▼コンピューターでなく手作業で発券したため、混雑時に作業が追いつかず、空席を残して発車することもあったといい、自由席誕生は窮余の策だった▼当時、在来線も含め特急は全席指定が一般的。自由席は後にこだまで通年化され、在来線特急にも広がった。座れぬ恐れもあるが、変更のたびに窓口に並ぶ必要もなく、少し安い特急自由席は人口増加期の大量輸送の一翼を担った。国鉄やJR東海で要職を歴任した須田寛氏の著書に教わった▼東京-博多間の新幹線「のぞみ」がこの年の瀬から年末年始、4~5月の連休、お盆に限り全席指定になる。16両のうち3両が従来自由席だが、ホームなどが混雑し、遅れも招いていた▼窓口に並ばずともスマホで指定席が確保できる時代。手間がかからぬなら必ず座れる指定席の人気が高まるのかもしれない。北陸新幹線「かがやき」や信州を走る在来線特急「あずさ」など近年は通年で全席指定の列車が増えた▼須田氏の本によると、昭和47年の新幹線の岡山延伸を機にひかりにも自由席が導入された。国鉄には特急は従来通り指定席がふさわしいと考える勢力もいたが、押し切られた。逆転した感もある形勢に時の流れを思う。
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