寒い季節に作家トーベ・ヤンソンさんのムーミンの物語を思い出す。ご存じか。ムーミン一家は冬眠する。ムーミン谷に初雪が降る11月ごろだそうだ▼ムーミントロールは本当は冬眠したくない。「いやだなあ。時間をうんとむだにしちまうんじゃない?」。スナフキンが心配ないさという。「きっとぼくたち、すばらしい夢を見るぜ。そうして、こんど目がさめたときには、もう春になっているんだからね」(『たのしいムーミン一家』)-▼ムーミンではなく、「熊蟄穴」(くまあなにこもる)。季節の移ろいを表現する七十二候によると、今はクマが冬眠のため穴にこもる頃合いらしい▼言われてみれば、この夏から秋にかけてクマが住宅地などに姿を現し、人を傷つけてしまう「クマ被害」もいくらかは落ち着いてきたか▼冬眠前、クマは脂肪を蓄えなければならない。環境変化によって木の実などの食べ物が減ってしまい、人の生活圏にやって来てしまうのがクマ被害の背景というが、この冬、クマたちは無事におなかを満たして床に就けただろうか。腹ペコの「ふて寝」ではやるせない▼熊は穴にこもったとはいえ「クマ被害」の問題は眠らない。どうすればクマと人との遭遇を回避できるか。駆除にも限界があるだろう。「こんど目がさめたときには」。それは無理だとしても良き解決方法を見つけたい。春はすぐ来る。
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