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今日の筆洗

2016年05月17日 | Weblog

 江戸の昔、王子稲荷(東京都北区)かいわいの名物料理屋といえば、一六四八年創業の扇屋さん。玉子焼きが有名で料理を折り詰めにするアイデアはこの店で始まったと聞く。現在もJR王子駅前で玉子焼き屋さんとして江戸の味を伝えている▼落語の「王子の狐(きつね)」はこの店が舞台。キツネが娘に化けるのを目撃した男が、この「娘」を誘い、扇屋で一杯やる。さんざん飲み食いした揚げ句、酔った「娘」を置き去りにして勘定を払わずに逃げてしまう。災難なのは「娘」のキツネである▼男は一件を仲間に話し折り詰めを土産に差し出すが、拒否される。「キツネの恨みのかかったもので、こっちまで祟(たた)られてはかなわない」。名高き料理とはいえ、怪しい入手方法を聞けば、歓迎はできまい▼こっちの「入手方法」は本当に問題ないのか。東京五輪招致をめぐる不正疑惑である▼招致委員会がコンサルタント会社に支払った大金が問題となっている。招致委員会の説明はあくまでコンサルタント料だが、支払先は開催地決定に影響力のある人物に近い会社。裏金工作ではないのかと疑われてしまった▼公正に東京開催が決定したと信じる国民にはキツネにつままれた話どころではない。日本側も協力し、事実解明を急がねばならぬ。そうでなければ、名誉ある五輪といえども、その「折り詰め」を喜んで頂戴するわけにはいくまい。

 落語 100%笑う 古今亭志ん生「王子の狐」



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