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今日の筆洗

2023年11月11日 | Weblog
中国にとってパンダは大使でもある。いわゆるパンダ外交は1941年、国民政府を率いた蔣介石の妻、宋美齢らが米国に贈ったのが嚆矢(こうし)という▼大陸を戦場とする日中戦争のころで既に南京は陥落。パンダ贈呈は「日本軍との戦いを支援してください」と米国に訴える狙いだった▼田中角栄内閣による72年の日中国交正常化でカンカンとランランがやって来るなど、日中友好のシンボルになった動物も昔は「抗日」の象徴だったらしい。家永真幸氏の著書『中国パンダ外交史』に教わった▼今の米中対立を象徴する話らしい。米首都ワシントンの国立動物園のパンダ3頭が中国へ帰途についた。貸与期限切れのため。現時点で新たに迎え入れる予定はないという▼米中国交回復に至るニクソン大統領の訪中を機に72年に贈られて以来、首都の動物園で愛されてきたパンダ。姿が消え市民も寂しがっているようだ。米国の他の動物園のパンダも来年には全て返還される見通し。米国では見られなくなるのか▼戦後、日本の動物園関係者は田中内閣以前にも幾度もパンダ譲渡を中国側に働きかけたが、先方が敵対する台湾と親しいとみなされた佐藤栄作内閣時代には「佐藤政権下ではだめ」と拒まれたこともあったという。与えぬのもまたパンダ外交であろうが、ことは覇権を争う米中の話。愛らしい大使がいなくては世界も不安になる。
 
 

 


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