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今日の筆洗

2018年06月06日 | Weblog

 『うそくらべ見立評判記』は江戸時代のうその番付である。当時は料理屋、名酒からうその類いまで相撲の番付表に見立てたランキング形式の評定が流行したそうだ▼うそ番付最高位、東の大関は「女はきらいだといふ若い衆」。西の大関は「早く死にたいといふ年寄り」だそうだ。説明はいらないか。おもしろいところでは「見せやうがおそいといふやぶ医者」「おばけがきたといふおふくろ」。だだっ子におばけが来るよとなだめすかすのは昔も今も同じか▼いずれのうそも加計、森友やらでひしめく「最新版」に比べれば罪はなく、かわいいものである。先日の朝刊に載った、この「大うそ」もまた横綱、大関クラスに入るだろう。神戸市の中学生が自殺した問題で自殺直後、級友から聞き取った内容のメモを、市教委の首席指導主事と学校長が相談の上、両親に対し存在しないと虚偽の説明をしていた▼自殺を最も深刻に受け止め、真相を解明すべき立場にある人間が真実を待つ両親にうそをつく。しらばくれる。くやしさでこちらの身もよじれる。その学校では、これからどうやって正直な人間たれと教えるつもりだろう▼メモがあると言えば「処理が煩雑になる」と考えたという。面倒だからと両親をだまし、亡くなった後まで中学生を傷つけた▼うそ番付のみならず、「不人情」「大馬鹿者」の番付でも最上位に入る。