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今日の筆洗

2017年04月15日 | Weblog

 <父の目をかりたら/どんなけしきに見えるだろう/母の目をかりてドラマを見たら/すぐになみだをだすだろう…>▼これは、先月出版された詩集『ことばのしっぽ』(中央公論新社)に収められた小学校五年生の女の子の作品「みんなの目」だ。詩は、こう続く。<…兄の目をかりて/野球のしあいを見たら/とてもたのしくなるだろう/妹の目をかりたら/どこでもすぐにねられるだろう>▼今、この人の目をかりてみたら、どんなけしきが見えるだろうか。千葉県松戸市の小学校に通っていた九つの娘を殺されたレェ・アイン・ハオさんだ▼仕事でベトナムから日本に来ていたハオさんは、まな娘をニャット・リンと名付けた。ベトナム語でニャットは日本、リンは輝きという意味だという▼しかし、「日本で輝かしい生活を」というハオさんの思いは突然、断ち切られた。きのう死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、子どもたちの安全を見守る目を持つはずの保護者会長だというから、あまりにもやりきれぬ事件の展開だ▼父母の目、きょうだいの目、友だちの目、あるいは、ほかの国の人々の目…。人が成長するということは、「自分の目」だけでなく、「みんなの目」で世界を見ようとすることを、覚えていくことかもしれぬ。リンさんの命を奪ったのは、そういう大切な「みんなの目」をなくしてしまった人間だろう。