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今日の筆洗

2017年04月01日 | Weblog

 百四歳で天寿を全うした詩人まど・みちおさんに、「朝がくると」という詩がある。<朝がくると とび起きて/ぼくが作ったのでもない/水道で 顔をあらうと/ぼくが作ったのでもない/洋服を きて…>▼自分で作ったのではない本や文房具を持ち、自分で作ったのではない学校に向かう。それは何のためか。詩は、こう結ばれる。<いまに おとなになったなら/ぼくだって ぼくだって/なにかを 作ることが/できるように なるために>▼きょうから四月。今春はおよそ八十九万人が新社会人として歩みだすという。いよいよ自分で、だれかのために何かを作り始める。そういう朝を迎えるわけだ▼毎朝、人間が寝床から起き上がることを可能にする力は何か。それは「楽観」だと、英国の心理学者エレーヌ・フォックス博士は『脳科学は人格を変えられるか?』で説いている▼興味深い調査がある。一九三〇年に修道院に入った百八十人の数十年分の日記を調べると、明るく陽気な日記を書いていた修道女は、暗い日記を書く人より平均で十年も長生きしていた。驚くべき楽観の力だ▼フォックス博士は楽天家の至言として、エジソンの有名なひと言を挙げている。電球の試作の失敗が一万個に達したことを知った時、発明王曰(いわ)く、<失敗したのではない。うまくいかない方法を一万通り見つけただけのことだ>。