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「律葉と秋葉と潤と響」10

2018年11月13日 | T.B.2024年

トントン、と、秋葉の家の扉を叩く。

それから少し遅れて
こんにちは、と声をかける。

律葉の家を訪ねるのは初めてだ。

足音が聞こえてきて
そう言えば、秋葉の家族とは
話したことがないと気がつく。

何だか緊張するな、と
思わず背筋を正す。

「はーい。
 あ、律葉!!」
「………?」
「久しぶり。
 この前は会えなかったから
 心配していたんだよ」
「???」
「おーい、律葉!??」

ぶんぶん、と
目の前で手を振られるが、
あれ?れ?と
律葉の思考が停止してしまう。

ここは秋葉の家。

間違い無い。しっかり確認したはず。
だけど今出迎えてくれているのは。

「響??」

「そうだけど???」

奥の部屋から
足を引きずりながら
秋葉が顔を出す。

「律葉!!来てくれたの!!」

わーい、と
駆け寄ろうとする秋葉を
はっとして律葉は止める。

「無理に動かさないで。
 ………えっと、なんで響が居るの?」

むしろ律葉の疑問が何でだろうと
秋葉と響は顔を見合わせる。

「今、秋葉の家族が出掛けているから。
 俺が代わりに付き添いしてんの」
「そうだよ。
 お菓子食べているだけ、だけどね」
「いや、俺ちゃんと看病してるよ。
 ちゃんと代わりに玄関に行ったし」

「あ、そうか」

うん。2人は親戚だった。
変な想像を働かせてしまって
恥ずかしい、と律葉は首を振る。

「秋葉、足の調子はどう?」
「だいぶ良いけど。
 次の狩りはお休みするかも。
 その次はちゃんと行くからね」
「えぇ、待っているわ」

となると、
次の狩りは3人で、か。と
少し困ったなと律葉は思う。

何となく会うのを避けてしまっている。

そう、潤。

「ねぇ、変な噂を聞いたのだけど」

「ああ。
 律葉の耳にも届いた?」

そっか、と響は困った顔をする。
秋葉の表情からも何かあったことが分かる。

「うん、そうだね。
 まずはお茶を入れようか」

簡単に終わる話じゃ無いから、と響が腰を上げる。


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