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「タロウとマジダとジロウ」おまけ

2017年04月25日 | T.B.2001年

「君は、ここの春は初めてだろう」

南一族の医師が言う。
いや、とタロウは答える。

「去年も居ましたけれど」
「ほぼ病室で過ごしていたじゃないか、
 あれは、カウントしません」
「……カウント」

「楽しんだら良いよ。
 昼間っから堂々と、飲めるの、なんて
 花見ぐらいなんだから」

イエーイ、と医師が花見の集団に駆けていく、
と、思いきや
一回戻ってきてタロウに耳打ちする。

「いつか、事情を話せるときが来たら
 あの子達に聞かせてあげたらよい」

「えぇ、いつか」

そうだね、と医師が言う。

「僕にとっては
 君が抱えている問題は
 そう大きな事では無いと思う」

きっと二人もそう言うだろう、と。
そして、
ゴホン、と僅かに咳払いして続ける。

「早いほうが良いかも。
 どこかの村で罪を犯したアサシンぐらいに思ってるから」
「……ええぇ!!」
「今回は君が悪い。
 大げさな言い方するから」

「ちょま、ちょっと、待って。
 マジダ。ジロウ。
 あのね~」

あわてたタロウが
二人の元へ駆けていく。



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