tonto's blog

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設計士

2019-04-30 | weblog

 先日、私の診療所の設計をしてもらった設計士の先生が、脳出血からの長い闘病の末になくなりました。その設計士の実家はお寺さんで、お兄さんがそのお寺の住職としてついでおられます。次男は自分の進む道を建築関係と決め大きな会社に就職。十分な成績を残したあとに独立、実家の近くで設計事務所を開設し活躍されました。

 葬儀の際のご尊師は菩提寺の住職でもある実兄が務められました。読経のあとに個人の生涯についてのお話(なんというものか名称は知りません)があるのですが、そのはじめに「住職であり実兄でもある私としては複雑な気持ちでこちらに居ます」から始まりました。

 僧侶の方々は厳しい修行を重ね、いつどのような時でも冷静を保たれるものと思っていましたが、父親を早くに亡くし、実弟の子供の頃からの思い出は特別で、時に言葉をとぎらせ、会葬者にもその悲しみが伝わってきました。

 62才で脳出血、その後はご本人の努力もありましたが、車いす生活を18年続けられた末の急変。お仕事をしながらもずっと介護を続けた奥様の大変さは、周囲のものが考える以上のものだったに違いありません。年末に私のところにお越しの時には「これまでよりもお元気そうに見えますよ」って話したのを覚えています。

 今日、奥様が私のところにご挨拶に来てくれました。思い出話もしたのですが、そのときにふと思い浮かんだのは「設計士(建築家)はいいなあ、本人が死んでもその建物は残る」でした。この設計士の先生も自身が卒業した中学校校舎の設計から、近くの大きな割烹料理店、うちのような小さな診療所などまでもたくさん手がけられました。

 ご遺族がそれらの建物の前をとおる度に、「これはお父さんが…」って、きっと誇りに感じられるでしょう。そう。

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