*北京、上海には既に事務所を置いている、
スペインのプロサッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ」のハビエル・テバス会長との日経記者インタビュー、
「リーガの視聴者は世界で6億人以上いる。自宅やスポーツバーで1試合を通して見る人が対象だ。そのうち2億人をアジアが占める。南米などはサッカー人気が定着しているが、伸びているのはアジアとアフリカだ。20年にはアジアの視聴者数を4億人に倍増させたい。高い目標だが、そのために日々努力をしている」
「現地事務所を通じたマーケティング活動を強化したい。このため来年1月にシンガポール、同5月に東京に事務所を開設する。シンガポールは東南アジア全体を見る予定だ。米ニューヨークや南アフリカのヨハネスブルクなど世界中で事務所を開設してきた。アジアでは北京や上海に事務所があり、今年の9月にはニューデリーに開設した。ブラジルのサンパウロにも17年末に開く予定だ」
「テレビ局などメディアと意見交換をしたい。交流サイト(SNS)を通じても、リーガの知名度を上げたい。日本ではフェイスブックやLINEが人気だと聞いている。現地で人気のメディアを使って知名度を高めたい。ほかにサッカー教室やホテルでの観戦イベントも企画する。日本とスペインは経済的な結びつきが強まっている。マドリードと東京を結ぶ直行便もできたし、スペイン商工会議所もこのほど日本に設立された。両国の企業交流も進むだろう」
「リーガの試合開始は夜が多かったが、今シーズンからスペインの午後1時にキックオフする試合を増やしている。日本では午後9時にあたり、アジアのファンが視聴しやすい時間帯だ。バルセロナやレアル・マドリードのほか、日本人選手が所属するセビリアやエイバルの試合が対象になる」
「プレミアリーグは歴史が長く、確かに東南アジアで先行している。我々の強みはメッシ(バルセロナ)やロナルド(レアル・マドリード)など優秀な選手と有名クラブだ。今年の欧州チャンピオンズリーグ決勝もスペイン勢同士の対戦となった。レアル・マドリードやバルセロナ以外のチームの普及活動をしており、リーガ全体の知名度を高めていきたい」
「リーガ全体を強化するため、放映権の一括管理に乗り出した。15年まではクラブがテレビ局と個別に契約していた。そのため圧倒的な人気を持つバルセロナ、レアル・マドリードの収入が多くなり、強化費用の差がますます大きくなった。そこでリーガがスペイン政府にかけあい、法令を作ってリーガが放映権を一括管理し、クラブに分配するようにした。以前はクラブ間の格差が10倍以上あったが、現在は3.5倍にとどまる」
15年、リーガの中堅クラブ「エスパニョール」を中国のゲーム製作会社が買収しました。欧州全体でも中国企業による名門クラブの買収が相次いでいます。
「基本的にポジティブに受け止めている。リーガの中小クラブには赤字経営のクラブも少なくない。海外資本によって経営が安定するのはいいことだ。リーガを安定的に運営する上で資金は非常に重要だ。アジア選手の加入や、海外でのリーガの知名度向上につながるなどプラス面も大きい」
「ただ放映権を売るのではなく、より魅力的な映像作りに取り組んでいる。7つのスタジアムで空中カメラを設置した。360度の視点から映像をリプレーできる機能を付けたほか、ロッカールームの映像を放送するなどファンが喜ぶコンテンツを提供したい」
ハビエル・テバス会長は弁護士出身。クラブ経営を経て、2013年4月にリーガ・エスパニョーラの会長に就任。16年10月に再選された。交渉力を生かし、リーガの改革を進めている。*日経