定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農39

2018-12-02 20:42:38 | 小説定年楽農
 
農事組合の法人化
  ちょうど、国の方では、規制緩和の風潮が高まり、新しく「一般社団法人」の制度ができた。
  調べてみると、比較的簡単に一般社団法人が作れそうだ。
  法人にすれば、法人名義で登記ができ、相続問題は解消される。
  早速、道夫さんと、法務局の出張所に行って相談する。
 一番のポイントは、法人解散の時の財産処分であった。
 一般社団法人にすると、財産処分は公共に提供しなければならないかどうかであった。
 法務局の方も、本庁に問い合わせるなどして、数回通ったが、親切に教えてくれ、「法人の規約で、総会の議決によるとしておけばできます」となった。
 早速ネットで、法人手続きをやってくれそうな事務所を探す。
 そのうちの1件に業務内容に「一般社団法人設立」とある会計事務所を見つけた。
 一郎「ネットで近藤会計事務所という所で、やってくれそうだけど、どうでしょう」
 道夫「近藤会計事務所なら、うちが税務申告を頼んでいる所だよ。大丈夫だよ」
 一郎は、一般社団法人設立の解説書を購入して、法人の規約の草案を作った。
 まず目的としては、将来、農村環境整備も必要になると考え、幅広く地域の農業振興を図ることを目的とした。
 事業として、とりあえず圃場の用排水管理、その周りの環境整備、所有土地の有効活用などを挙げた。
 残余財産は、「社員総会の議決による」とした。
 これをもって、道夫さんと一緒に近藤会計事務所を訪れた。
 その後、社員108名への説明会、全員が設立者となるための押印、など、手間はかかったが、ひとまず、一般社団法人八幡農事会が発足した。
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小説定年楽農38

2018-12-01 17:12:41 | 小説定年楽農

 農事組合長
 暮れに、農事組合長の茂男さんと、副組合長の保夫さんが自宅に来た。
 一郎は嫌な予感がした。
 茂男「来年農事組合長を受けてほしいんだけど」
 一郎は、5年前に副組合長を受けていたので、人材のいない状況など、だいたい事情はわかっていた。
 一郎「こういう役は、一緒にやる人によって、えらく違うので、副組合長には、しっかりした人をお願いします」といって引き受けた。
 農事組合には大きな問題があった。
 我が村は、昭和17年に周辺町と合併して、市制となったが、その際、村の土地があった。
 その土地は、昔、はやり病で、一族が絶えた世帯の土地を、村民多数の名義で、村の土地として利用していた。
 市制と共に、一部は市所有となったが、一部に村民多数の名義のまま、農事組合が利用する土地として残した。
 名義が多数のうちはいいが、名義人の死亡により、1人かけ、2人かけ、最後は、名義人は1人や2人になっていた。
 こうなると、名義人を減らすわけにはいかず、相続でつなぐしかなくなってくる。
 相続となると、権利者全員が押印した遺産分割協議書が必要となる。
 その時の説明証拠として、「この土地の名義は○○さん達になっているが、真の所有は、農事組合ですよ」という公正証書作って対応していた。
 しかし、核家族化が進み、先々を考えると、相続の権利者全員の押印をもらうのに困難な場合も想定される。
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