新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

Barberとはこんな意味だったのか

2017年02月18日 | 日記

 きょうは朝から机に向かっている。ジェームズ・ミッチェナーの「メキシコ」は、私がもっているミッチェナーの本のなかでは唯一のハードカバーだ。時間がある日はこの本を辞書を引きながらゆっくりと読み進む。

 ジェームズ・ミッチェナーの「メキシコ」にThe Barbersと題する章がある。Barbersはなにを意味するのか。床屋、理髪師ではどうも物語の脈絡にそぐわない。ふと思い出した。むかしの床屋はナイフとハサミを使って髪だけでなくイボなども切り落としていた、という話を。つまり外科医と同じような仕事を任されていた、と何かで読んだか誰かに聞いた憶えがある。だからこそ、床屋の軒先にかならず見かける看板、ぐるぐる回る赤と青は血管の静脈と動脈を表すのだ。さて、ここではどうか。
 話題は闘牛のことになる。メキシコの闘牛はスペインから伝わり、人びとの娯楽のなかでも高い位置を占める。それだけに不正も横行する。批評家を買収して自分たちの牛に都合がよい記事を書かせるなどということは朝飯前だ。相手方マタドールに金を握らせて八百長をすることもできる。ところが牛だけは動物だから金で動かすことはできない。マタドールの命取りになる牛の角に細工をすれば、弱い闘牛士の命を救える。そこでBarberの出番になる。Barberは真夜中の誰もいない牛舎の牛にこっそりと近づき、角の先端3インチをのこぎりで切りとる。そして切りとった先端をヤスリで丸める。しかも先端をかすかに内側へ向くように丸めるのがコツで、これによってどれほど強い牛でも簡単には闘牛士を突き刺すことができなくなる。
 この仕事をする人をBarberという。辞書にはない新しい意味を知ることができた。

 だいぶ暖かくなった。あすは一日、山仕事をする。