新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

ウクライナ、クリミア半島情勢

2014年03月09日 | 日記

 クリミア半島をめぐる米ロの攻防が激しい。老獪な政治家のプーチン大統領と政治手腕の未熟さを露呈したオバマ大統領という構図をマスメディアは描きあげているかのようだ。メディアがどう描くかはこの際どうでもよい。半島は交通と軍事の要衝だ。地図を見れば一目瞭然だが、クリミア半島は黒海沿岸にあり、黒海からボスポラス海峡を経て地中海に出られる。ロシアがそう簡単に手放すわけがない。
 半島が軍事上の要衝とされる他の例をあげておく。
 日本にとっての朝鮮半島がそうだった。古くは豊臣秀吉の朝鮮出兵がある。テレビドラマなどで秀吉が狂乱して朝鮮出兵を命じたように描かれることがあるが、それは事実ではないだろう。幕末から明治かけては吉田松陰や福沢諭吉が朝鮮半島を軍事拠点にする必要性を説いたらしい。強大なロシアや中国に脅威を感じるなら朝鮮半島をクッションとして使え、ということだったらしい。
 イギリスはもはや何の利益もないのにジブラルタルでの権益をいまだに留保している。そのおかげでジブラルタルはまったくおもしろみのない町になっている。いうまでもなくジブラルタル海峡は大西洋から地中海への入り口だ。もしここをイギリスがさっさとスペインに返却していれば、ジブラルタルは一大観光地として発展していたかもしれない。ジブラルタル海峡はわずか14キロしかない。この海峡を越えて8世紀はじめ、アラブ系民族がアフリカ大陸からイベリア半島へどっと押し寄せ、キリスト教徒を北へ東へと追いやったのだった。そしてキリスト教徒たちは失地の回復にその後700年以上もかかった。そのヨーロッパ側窓口がジブラルタルだった。不思議なことにアフリカ側対岸はスペインの領土になっている。