この冬はじめての本格的な雪だった。午前6時すぎ、徒歩で藤野駅へ向かう。まだ夜が明けきらない雪明かりのなかを歩くのも悪くない。木の枝の1本1本がきちんと雪をかぶり、念入りに脱脂綿をふりまいたクリスマスツリーのようにも見える。
秋川橋をわたりながら北を眺め、南へと目をやる。橋上からの眺めはいつ見ても中国の山水画に描かれているような幽玄な風景だが、きょうはまた格別の神々しさを放っている。この時間、自動車の通行はまばらだ。
駅へ着くころにはだいぶ夜が明ける。山の雪景色が青空を背景にしてよりいっそう映えている。
心配していた道路の凍結は危険を感じるほどではなかった。私が歩く道は路線バスが走る区間でもあるせいか前夜にていねいな除雪作業がおこなわれ、そのあとに凍結防止剤が撒かれていたらしい。さらに日連大橋では歩道部分まできちんと除雪してあった。歩行者に配慮した除雪作業はありがたい。おかげで私は滑ることも転ぶこともなく無事に駅までたどり着くことができた。
それに比べて東京都にある職場近くの駅前道路は、雪掻きはしてあっても凍結防止剤を撒くことまではしなかったらしい。残された雪が凍りつき、車にとっても歩行者にとってもきわめて危険なアイスバーン状態になっていた。県や相模原市がする除雪作業へのこまやかな配慮が奏功していることをあらためて感じた。