東西冷戦の中で、朝鮮戦争以来の南北対立は、大きな軍事衝突が起こり得る危険性をはらんでいました。
それを半世紀かけて、多量の血を流さなくて済む、統一を目指す対話の余地が少しずつ進展してきました。
南北がまがりまりにも経済的に存続し、統治基盤を安定させるにあたって在日が果たした役割は、それなりに大きかったのです。
例えば朝鮮総連のような北朝鮮系の外国組織は、日本以外に存在しません。
一時、アメリカに「第二朝鮮総連」を作る動きがあった。
最終的にはつぶされたものの、在米韓国人の多くは北朝鮮に属する地域の出身者である。
要は、北朝鮮出身者は韓国で蔑視、差別されるので、アメリカに渡った者が多い。
そこで北朝鮮出身者の組織を作る条件が整っていると思いきや、実現しない。
逆に日本では、朝鮮総連支持者の圧倒的多数は韓国に属する地域出身(特に済州島出身者が多い)だから、北系、南系の組織が別れて存在することになる。
1990年、韓国と北朝鮮が国連に同時加盟した。
北朝鮮も韓国も、本音では単独加盟を果しかったが、結局、一緒に入るしかなくなり、仕方なく加盟したいきさつがある。
1988年のソウルオリンピックに伴う自由化で、海外観光旅行が緩和されると、多くの韓国人女性が日本に出稼ぎに来た。
貧しいために韓国クラブで働く。
韓国クラブの常連は朝鮮総連系の商工人たちである。
なぜなら、総連系商工人はお金を持っていても韓国にいけない。
北のシンパとみなされ、入国すれば逮捕拘禁を含め、何をされるかわからないからだ。
彼らの多くは韓国から渡ってきた一世だから、望郷心があっても母国に行けない思いを発散するのが、韓国クラブだった。
当時、北朝鮮に好意的だった日本のマスメディアは、しばしば北に渡って金日成へのインタビュー取材を行ない、金日成が演説すればニュースで流していた。
だが韓国では1988年まで、金日成と金正日の写真のメディア掲載が禁じられていた。
北朝鮮は2000年まで、韓国の大統領の写真や映像の使用が禁止されていた。
両国とも、そういう国なのである。
北朝鮮が国内引き締めのために、韓国の文化や実情を知らせる情報が流入しないよう、神経を使っているのは日本人も知っているだろうが、韓国も似たようなレベルだったのである。
多くの在日はそのことをよくわかっているが、政治対立のために沈黙するしかなかった。
韓国人も、その程度の信じがたいような教育を受けてきたわけであり、徹底した反日教育がいかに影響を与えているか、北を日本に置き換えてみれば、一目瞭然だろう。