「上下関係に厳しい儒教の国・韓国では、相手の年齢を知ることからコミュニケーションが始まります」。
こういった説明を、聞いたことがある人も多いと思います。
確かに韓国に行くと、出会って挨拶をしてから数分のうちに、必ずといっていいほど年齢を聞かれます。
韓国では接する相手が1歳でも年上ならば敬語を使いますし、目上の人の前でタバコを吸わない、お酒を飲むときは横を向くなど、さまざまなシーンにおける“決まりごと“があります。
この決まりごとは、私たちが考えている以上に厳格で、お年寄りから若い世代まで、韓国人の心に深く根差した習慣です。
ビジネスでも、取引先の担当者が年下だと思い込んで年齢を確認しないまま交渉を始めてしまい、実はその担当者が年上だと発覚した途端、交渉がおじゃんになってしまった、という笑えないエピソードもあるようです。
それほどまでに上下関係を重んじるのが韓国という国です。
出会ってすぐに年齢を聞くのはコミュニケーションのためというより、もっと切実なニュアンスが伴っているように感じます。
明らかに自分より年上・年下であると分かる場合は別ですが、韓国人同士が互いの年齢を知らないまま話し始めると、どちらも自分の態度を決められず、会話そのものがギクシャクした感じや曖昧な感じが“たまらなく嫌!“なのだと思います。
さっさと相手の素性を知って自分の立場を決めたいし、仲良くなれるかを見極めたい。
年齢を確かめあう裏には、そんな気持ちが潜んでいるように感じます。