朝日・産経の評価が逆転
韓国における日本メディアといえば、「朝日vs産経」の歴史に触れないわけにはいかない。
実は韓国では、1980年代までは産経が親韓派の良心的新聞で、朝日は親北・反韓新聞として評判が悪かった。
産経はイデオロギー的には反共で安保重視の立場から朴正熙政権を支持し、その経済建設を高く評価していたから大いに感謝された。
これに対し朝日は朴政権を独裁と非難し、経済発展より政治的抑圧に関心を寄せ、さらに親北朝鮮とみられていたため反韓的とされた。
ところが1990年代以降は逆に朝日が親韓派で良心的になり、産経が反韓新聞として嫌われるようになった。
理由は、韓国社会がいわゆる民主化で過去の軍事政権時代に対する否定的になり、北朝鮮に対しても宥和的な雰囲気が広がったからだ。
それに加え大きな背景としては、東西冷戦の終結で西側陣営内でもそれまで抑制されてきたナショナリズムが表面化したためだ。
日韓歴史紛争がそれである。
産経は「日本はいいこともした」と過去の統治に関し日本の立場を主張しはじめたのに対し、朝日は被害者・韓国の立場を支持し優先する論調だった。
韓国からすると歴史認識でも産経は反韓的で朝日は良心的というわけだ。
韓国では今や産経新聞は“極右“といわれている。
朝日・産経の逆転劇をみても分かるように、自分たちの主張を支持しているのが彼らのいう「良心的」なのだ。
単に反韓vs親韓でいいものを、自らの立場に近いことがいつも「良心的」なのだ。
「良心的」という普遍的な価値の装いでみずからの立場を正当化するというのは、いかにも韓国的である。
韓国人特有の自己中哲学といっていい。
「良心的」になった朝日は近年、安倍政権打倒の先頭に立っていると見られているので、いっそう「良心的」として頼りにされている。
その朝日が最近、日韓関係の核心テーマになっている慰安婦問題で誤報を認めたことに韓国では戸惑いがある。
それでも朝日が「慰安婦問題の本質は変わらない」と韓国支持の姿勢をみせていることに癒やされ、安心しようとしている。