韓国にはこれまで「二つの絶対的タブー(禁忌)」があったといわれる。
それにひっかかると非難の嵐を浴びて社会的に抹殺されかねないもので、一つは「共産主義」、もう一つは「親日」だった。
「共産主義」は韓国語で「アカ(赤)」を意味する「パルゲンイ」が通称だが、韓国と敵対する共産主義の北朝鮮に同調する者ということで政治的・社会的拒否の対象になった。
「親日」は日本統治時代(1910年~45年)に日本の統治や日本の戦争政策に協力したことをいう。
韓国では普通「친일파(親日派)」という風に使う。
この言葉は今も「売国奴」とか民族的裏切り者の代名詞になっていて、社会的にきわめて拒否感が強い。
とくに政治家や知識人など公的、社会的な地位のある者は、この烙印を押されるとその地位を失い、社会的に排除されてきた。
しかし、このうち「アカ(共産主義者)」タブーは現在、社会的に大きく後退した。
1990年以降のいわゆる民主化で、ある種の思想解禁とその一環として親・北朝鮮言動が解禁になったからだ。
しかし、もう一つの「친일(親日)」「친일파(親日派)」は今なお強力なタブーであり続け、政治的、社会的に威力を発揮している。