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松本清張著 「信玄戦旗」

2024年02月25日 09時52分16秒 | 読書記

通っている図書館は、毎年2月の中旬から下旬に掛けての2週間、蔵書の点検整理作業のため休館となるが、今年も今、その休館中で、次に本を借りられるのは、来週以降になるため、なんとなく手持ち無沙汰な感じになっている。
ふっと、書棚に並んでいる本の1冊、松本清張著 「信玄戦旗」(角川文庫)に目が止まり、以前、ちょこっと読んだ気がするが、改めて読んで見る気になった。
自分で買った記憶無く、息子達が買って置いていったものなのか、妻が実家から持ってきたものなのか、定かではないが、数年前に大胆に本類を廃棄処分した際にも、なんとなく残しておいた本だ。
戦国時代の雄、武田信玄の生涯を描いた作品だが、小説としての面白さに合わせて、著者の幅広く、深い歴史考察が織り込まれ、随所に、解説図や参考図等、資料が挿入されていて、改めて歴史の勉強にもなり、引き込まる書である。

松本清張著 「信玄戦旗」

■目次
「山峡の源氏」「雪中初陣」「実父追放」「信濃の征旗」「拡張政策」「好敵手」
「八幡原の白い闇」「同盟の崩壊」「上洛急速」「伊那路に堕つ」
解説 武蔵野次郎


■あらすじ等
戦国乱世のただ中に、天下制覇を目指した名将武田信玄。その初陣から無念の死まで、波乱激動の生涯をたどる迫真の長編時代小説である。大国の当主同士が一騎打ちを演じた唯一の合戦として名高い川中島の戦い、軍師山本勘助の巧妙な活躍ぶりなど、歴史の転換点、名場面の仕組みを周到な時代考察をふまえて、鮮やかに描いていく。虚々実々のかけ引き、壮大な勇気、そして決断のあり様などに魅きこまれるうちに、今を生きる私たちの処世や対企業組織の活路が見えてくる。巨匠による、異彩をはなつ歴史読物になっている。
第1章「山峡の源氏」では、甲斐国の解説や、武田氏の起源成り立ち、当時の時代情勢等が実に丹念に描かれている。
例えば、

   甲府というのは、江戸時代になってからの名である。もとは府中である。
   信玄が死んだのち、
子の勝頼が北西の韮崎に城を築いてこれを新府中といった。
   その勝頼の新府に対して信玄の
旧都のほうを古府(こふ)と呼んだのだ。
   古府(こふ)がのち甲府の字に置き換えられた。

   「甲陽軍鑑」に「甲府」と出ているのは、同書が江戸時代に書かれたものだからである。
   甲府の旧い人は、韮崎のほうをいまでも「ご新府さま」と敬称で言っている。
第2章「雪中初陣」以降は、数多の歴史時代小説でも描かれている、武田信玄の出生、父親信虎との確執、川中島の合戦、三方ヶ原の合戦等、数多の戦い、上洛への道等々、おおかたの筋書きは、誰でも知っているようのものであるが、小説にも拘らず、随所に解説図や参考図等資料を添えながら描いており、

「なるほど、なるほど・・・、」
「へー!、そうだったの!」
小説の面白さ以上に、歴史の参考書にもなるような書だ。

挿入されている資料の一部

      躑躅ヶ崎館配置図              上杉・武田・北条・今川勢力図

 

     甲斐武田氏系図              上杉氏系図

 

武田・今川・北条婚姻関係図

      武田二十四将図               「風林火山」「諏方法性」の旗

 

戦国時代合戦武具

     信玄信濃侵略図                 謙信軍「車懸り」

 

戦国武将家紋

三方ヶ原合戦要図

 信玄上洛軍、侵攻・撤退コース           晴信信玄花押

 

「松本清張」と言えば、「推理小説の分野の第一人者」とされることが多いと思うが、歴史時代小説の分野でも、優れた作品を遺しておられるという。
数年前に図書館から借りて読んだ、「無宿人別帳」「鬼火の町」もその一つ。読書初心者故、その他の作品、まだ、全く読んだことが無いが、手を伸ばすよう心掛けたいものだと思っているところだ。


振り返り記事「鬼火の町」
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振り返り記事「無宿人別帳」
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