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松本清張著 「鬼火の町」

2020年08月03日 14時44分47秒 | 読書記

図書館から借りていた 松本清張著 「鬼火の町」(大活字本)を 読み終えた。
先日 返却と借受に図書館へ行った際、書庫に有る本が出てくるまでの数分間の待機時間に 大活字本コーナーで ふっと目に止まった本。
読書歴浅い爺さん、毎度のこと、事前の知識も情報も無しで 手を伸ばし借りてきてしまったものだ。

天保年間の江戸時代を舞台にした捕物帳、殺人事件を上からの圧力で揉み消そうとする巨悪に対して 岡っ引き・藤兵衛や 正義心の強い旗本・釜木進一郎等が権力に対抗し 真相を究明し、悪を暴くという 松本清張の痛快時代推理小説である。

 

松本清張著 「鬼火の町」 (大活字本)


大活字本(大活字版、大活字図書)とは 弱視者(低視力者、高齢者等)にも読みやすいように、文字の大きさや行間を調節して 大きな活字で組み直した本のこと。当然 分冊になったり 値段も割高になるため、主に障害者や高齢者向けの施設や 公共の図書館等に所蔵されているようだ。老眼でも アナウンサーが原稿を読むような調子で ペラペラ、楽に読み進めることが出来る。


(目次) 
「幽霊船」、「煙管の追求」、「厚い壁」、「煙管の持ち主」、「屋形船」、「再び乗出す」、「挑戦」、「雲の中」、「夜と昼」、「五分の魂」、「結束」、「首なしの水死人」、「釜木の着想」、「川路三左衛門という男」、「浦風参詣」、「二階の俳人」、「解説」

江戸時代、天保年間、前将軍徳川家斉が大御所として 将軍家慶に実権を渡さず権勢をふるっていた頃、天保11年5月6日、濃霧が立ち込めた朝 隅田川で 屋根師の惣六、船頭の仙造、二人の男の水死体が発見されるところから 物語が始まっている。岡っ引きの藤兵衛は 川底をさらい 遺留品 「銀の煙管」を発見、事件解決の鍵になっていく。
色男の惣六といい仲だった娘義太夫のお春が殺された。そんな中で、藤兵衛は 突然、上役である同心の川島正三郎から探索をやめるよう命じられ、銀の煙管も取り上げられ、さらに 十手まで取り上げられるが 事件の真相究明、謎解きを断念することが出来ない藤兵衛。そこへ 事件に興味を持った旗本の最下位普請組の釜木進一郎が現れ、下っ引きの幸太亀吉、伝八、春造、銀五郎が結束、権力に挑む。事件は 大奥、大御所(家斉)の愛妾お美代の方、中臈浦風、お美代の方の養父・中野碩翁が 絡んでいることが分かり、大きな壁にぶつかる。さらに大奥行儀見習いの神田の菓子屋出雲屋の娘お島が殺害され、大奥に取り入ろうとする旗本駒木根内記の御用人伊東伝蔵が切腹、水茶屋のお絹が捕らえられる。円光寺の了善とは。
事件は 次々と複雑に展開するが、終盤には 佐渡奉行から小普請奉行になったばかりの川路三左衛門、牢屋奉行石出帯刀等も登場、事件解決に繋がっていく。最終章「二階の俳人」で 老俳人竹亭となった元岡っ引き・藤兵衛が 俳諧の師匠である俳人香木に 事件の顛末、謎解きを 聞かせるという形で 物語は終わっている。


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