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畠山健二著 「本所おけら長屋」(九)

2020年01月23日 08時10分17秒 | 読書記

図書館から借りていた 畠山健二著 「本所おけら長屋」(九) (PHP文芸文庫)を読み終えた。「本所おけら長屋シリーズ」第9弾の作品である。
本書には 「まいわし」「おてだま」「すがたみ」「かんざし」「うらかた」の連作短編5篇が収録されている。
ほぼ1話完結構成なので 記憶力減退爺さんでも 読み易い。
まるで 江戸落語さながらの 笑い有り、涙有り、テンポの良さ有り、一気に読み通せる作品である。

畠山健二著 「本所おけら長屋」(九)

舞台の中心は 江戸亀沢町の「おけら長屋」、
「おけら長屋」には 貧しいくせに お節介、人情に厚い、個性豊かな面々が まるでひとつ家族のように関わり合い、助け合いながら 暮らしている。
米屋の奉公人の万造、酒屋の奉公人の松吉の「万松」コンビを筆頭に 左官の八五郎お里夫婦、後家女のお染、浪人の島田鉄斎等々が 次々巻き起こる騒動、事件、厄介事に 笑いと涙で体当たり、まーるく収めていく、人の優しさが心に沁み込んでくる時代小説である。

その壱 「まいわし」
黒石藩藩主津軽甲斐守高宗のぶっちぎれ面白キャラが押し出されている。
江戸家老工藤惣二郎赤岩兵介、浪人の島田鉄斎万造松吉等々、
個性豊かな面々が笑わせる。

その弐 「おてだま」
おけら長屋の住人表具屋の卯之吉、お千代夫婦が引っ越し、その後に引っ越してきた謎の女お浅に纏わる騒動。騙されたのは 大家の徳兵衛?、乾物屋相模屋隠居与兵衛?、
なんだか 老人狙う振り込め詐欺事件に似たりもするが、

その参 「すがたみ」
聖庵堂で医師見習いしているお満は 日本橋の薬種問屋木田屋宗右衛門の娘、
吉原の花魁に入れ揚げている兄秀太郎問題で 万造、松吉の「万松」コンビの企てに一肌脱ぐ。修羅場を生きてきた花魁紫月(お蔦)に お満はもう一度会いたいと言い出す。髪結い清吉は・・・、

その四 「かんざし」
左官の八五郎お里夫婦、左官の親方文七と所帯を持っている娘お糸に纏わる物語。
勘違い、早とちり・・・、まるで落語の世界、
万造、松吉、島田鉄斎、お染、おけら長屋の住人がこぞって関わり、すったもんだ。

その五 「うらかた」
その弐 「おてだま」に登場したお浅(引っ越してひと月ほどで忽然を姿を消した謎の女)が 突然現れた。お浅の正体は?・・。
おけら長屋の面々が 笑いと涙で体当たり、ひとつづつ、糸をほぐして行き、
その四 「かんざし」では 大ピンチだった文七、お糸も助かる。
本文の最後の文節
「し、知らなかった・・・・、おけら長屋の人たちが・・・・」、
お糸は泣き崩れた。(中略)
お糸は その涙を拭おうともせず、おけら長屋の方を向いて両手を合わせた。

 


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