ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

東洋太平洋ウェルター級TM 丸元大成vs竹中義則

2007年02月12日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
丸元を初めて見たのは、まだ新人の頃の映像だった。
当時話題になっていた「現役京大生ボクサー」川島実を追った
ドキュメンタリー番組で、その対戦相手として登場したのだ。
もちろん番組の主役は川島で、丸元は脇役に過ぎない。確か一度は
ダウンを奪いながら、逆転KOで敗れたように記憶している。

調べてみると、それは2000年のこと。両者にとって再戦だった。
なお、この2人は都合3度に渡って対戦しており、川島が2勝した後、
2003年には丸元が一矢を報いている。いずれもKOでの決着だった。


あれから7年。主役だった川島はいつの間にか引退し、脇役だったはずの
丸元は、何とチャンピオンになっていた。ちなみに、タイトルを獲った
試合の前、丸元は2連続KO負けを記録している。番狂わせだったのだ。
気は強いが打たれ脆い。そんな印象しかなかったあの丸元がチャンピオンに。
そう思うと、なかなか感慨深いものがある。


そして、この日は丸元の初防衛戦。相手は竹中義則。大曲輝斉の
持っていた(当時)日本ウェルター級タイトルに挑みKO負けし、
4度目の王座挑戦に失敗。あの試合を最後に引退したものとばかり
思っていたが・・・何か期するものがあったのだろうか。

しかし、入場してきた竹中の表情には、まるで覇気がない。
本人の意思ではなく、何か外部の力で無理やりリングに上げられたの
では?そんなことさえ考えてしまった。


試合は、ほぼ一方的なチャンピオンのペースで進んでいく。
丸元というのは、こんなに巧いボクサーだったのか・・・。
丁寧にジャブを突き、ステップを踏み、竹中を寄せ付けない。
見る見る内に、竹中の目が腫れてくる。

第7ラウンドまで来た。竹中の目の腫れは一層ひどくなり、
いつストップされても不思議ではないところまで来ている。
やはり、このまま終わってしまうのか・・・。

だが、ここで竹中が意地を見せる。左フックでダウンを奪うのだ。
あまりにも上手く行き過ぎると、ふと気が抜ける瞬間があるのかもしれない。
効いている。千載一遇のチャンスだ。

ただし、丸元には意外なほど動揺が見られない。打たれ脆いだけに、
ダウン慣れしているのだろうか。それとも、王者になったという
自信が丸元を強くさせたのか。何とかこのラウンドを凌ぎ切った。

ダウンしても崩れなかった丸元。最大のチャンスを逃した竹中。
結局、流れは変わらなかった。そして9ラウンド、ついに竹中に
レフェリーストップがかかった。やや唐突な印象もあったが、
目の腫れとダメージ、両面を考慮したのだろう。理のある判断だ。


集中力の一瞬の欠如と、相変わらずの打たれ脆さ。ほぼ完璧な
試合運びをしていただけに、かえって丸元の不安材料も浮き彫りに
なってしまったが、まずは上出来の初防衛戦と言っていいのではないか。
次の相手は、以前このタイトルを保持していたレブ・サンティリャン。
東洋レベルでは、間違いなく強豪だ。

5度目の挑戦にも敗れた竹中。さすがに「6度目」はないだろう。
竹中の試合やインタビューを見ていつも思っていたのは、この人は
人が良すぎて鬼になり切れない部分があるのでは、ということだ。
ボクシングの世界では充分に満足できる実績を残せなかっただろうが、
だからといって、人として駄目だということにはならない。
次の人生での幸せを願いたいと思う。

4 コメント

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竹中 ありがとう (るいーじ)
2007-03-27 17:16:58
私も この試合 観戦しました チャンピオンさすがに強かったですが 長年 応援してきた 竹中選手には ありがとう そして お疲れ様と贈りたいですね! 
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Unknown (たかお)
2007-03-27 17:59:09
るいーじさん、コメントありがとうございます。

竹中選手、一度は日本タイトルマッチで
引き分け、限りなくチャンピオンに近い位置まで
行きましたよね。チャンピオンにはなれなかったけれど、
関西の多くのボクシングファンの心に残る選手
だったのではないでしょうか。

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Unknown (ライザージム)
2011-01-22 22:14:16
竹中さんは今ライザージムの会長をしています
僕も通っています
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Unknown (Unknown)
2011-06-11 13:32:30
私も竹中さんが大好きです。
イイ男です!!
「チャンピオン」になるだけがすべてではないですねえ。
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