はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

花田少年史~幽霊と秘密のトンネル~

2007-10-07 12:28:42 | 映画
 時に空を見上げ、時に闇にたたずむ。
 ひっそりとしんみりと、言いたかった言葉やかなえたかった願いを思いふける。
 でもみんな知ってる。後悔先に立たず、覆水は盆に帰らない。過ぎてしまった出来事はどうにもならない。
 だけど煩悶は続くのだ。もしあの時ああしていたら、こんなことさえしなければ。強い思い入れが残響のように己を苛み、そして……。

「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」監督:水田伸生

 某大作RPGが人気で、発売日には徹夜の行列ができていたあの頃、花田一路(須賀健太)は母・寿枝(篠原涼子)と庭で対峙していた。いつもの光景にぴくりともしない家族をよそにエスカレートするだけしたバトルの末に、一路は自転車で脱走する。親友・村上壮太(松田昂大)と合流した一路は山道を疾走し、有名なお化けトンネルに抜け出たところで暴走するトラックと衝突し、涅槃を垣間見る。
 トラックを暴走させる原因を作った「成長する幽霊」香取聖子(安藤希)は猛省し、なんとか一路をこの世に連れ戻すことに成功する。
 事故が元で頭に九針縫う怪我を負った一路が、あの世の存在と触れ合うことのできる霊媒体質を手に入れて、あの夏は始まった……。
「ピアノの森」の作者・一色まことの手による人情幽霊話。ちょっと昔の日本のどこかの港町で、幽霊とコンタクトできる少年・一路がその能力を生かしてご近所の人々や父母の心の澱を洗い流すというストーリー。
 もともと外れの少ない分野だし、「ALWAYS~3丁目の夕日~」などで好演を見せた須賀健太ののびのびした演技や、篠原涼子、西村雅彦、北村一輝、杉本哲太、もたいまさこなど脇を固める役者陣の安定した技量のおかげできっちり見れる作品に仕上がった。安藤希の女子高生役はちょっと無理があった気もするけど、そのへんはご愛嬌。ほろりと泣ける死者との対話を味わっていただきたい。

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