営業の牧田です。 1 (1) (モーニングKC)かわすみ ひろし講談社このアイテムの詳細を見る |
「営業の牧田です。(1)」かわすみひろし
大手のビール会社「エルビスビール」に就職。汗だくになりながらの営業の仕事。日々すべてが勉強で、足らない己の力がもどかしい。女をかえりみる暇などなく、当然彼女もいやしない……。
牧田牧夫。30を目前に控えたある夏の日。結婚を機に退職する同僚の壮行会で、1こ年上の経理のお姉さん・小松と出会う。色々話をしているうちに意気投合し、2人で抜け出してたどり着いたホテルのバー。どうやって部屋に誘おうかなんて考えていると、逆に小松に先手を打たれた。
「ねえ牧田君。私、牧田君となら……いいよ」
どぎまぎする牧田に、しかし彼女はとどめの一言。
「ただし、ひとつだけ条件があるの。私と結婚を前提として付き合ってください」
幸せそうな同僚の顔。いきなり降って湧いた人生設計。苦悩の末の牧田の選択は……。
なんとなく昔の月9を思い出した。織田祐二とか、武田鉄矢がいた頃の月9。きっと、お仕事漫画のテイストに少しとうの立った社会人の恋愛成分を振りかけているせいだ。それがあの頃の流行りだった。
仕事に奔走し、慣れない恋愛に振り回され、疲れきった夏の夜に呑む一杯のビール。
失敗も、後悔だって、いずれ成長の糧になる。そう信じながらたたずむ夕暮れ。
不器用だけど実直な牧田が直面するほろ苦い人生の味。それが妙にリアルで身につまされた。良品。