はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

魔法にかけられて

2008-03-30 16:21:33 | 映画
「魔法にかけられて」監督:ケヴィン・リマ
 
 お菓子の城。それがディズニーに対するイメージだ。つまり、甘ったるくて胃にもたれる。A君のたっての要望で本作を見に出かけた時も、正直、席に座り上映開始になるまで乗り気ではなかった。毛ほどの事前情報もないが、期待は薄かった。
 開始と同時に繰り広げられたのは、ファンタジー世界アンダレーシアの木の家に住まうディズニープリンセス・ジゼルが、気の良い森の動物達と暮らしながら白馬の王子との出会いを妄想するある一日。さすが熟練のアニメのクオリティは高いものの、これが2時間も続くのかと閉口した。王子エドワードとの運命の出会いそして結婚へと至る流れなどもう見ていられない。
 ところが、王子の継母の悪い魔女ナリッサが登場し、ジゼルに呪いをかけたあたりから様相は一変する。なんと呪いの内容は、ジゼルを現実世界へと飛ばすことにあったのだ。
 いきなり実写になるジゼル(エイミー・アダムス)。NYのど真ん中のマンホールからひょっこり顔を出した彼女は、自分の置かれた状況もわからぬまま王子(ジェームズ・マースデン)の待つアンダレーシアへの帰り道を求めてさ迷い歩く。
 森の仲間達が作ってくれたふわふわのドレス以外には何一つ持たないジゼル。ファンタジーの姫丸出しの世間知らずのお馬鹿ぶりを遺憾なく発揮して通行人に手当たり次第に助けを求めるが、返ってくるのは冷たい視線のみ。お爺ちゃんなら優しいだろうと声をかけたホームレスにティアラを奪われ、雨に打たれて濡れそぼり、中世の城を模した看板の扉を叩くが当然返事はなく……。
 途方に暮れるジゼルの前に現れたのは、王子ではなく弁護士ロバート(パトリック・デンプシー)とその娘モーガン(レイチェル・コーヴェイ)。お姫様の世話を焼こうと盛り上がる娘の願いでしぶしぶジゼルを父子家庭に招き入れたロバートは、しかし大人らしくジゼルにドン引き。なんとか追い出そうと奔走するのだが、とる行動がことごとく裏目に出て、結局共同生活を送るはめになる。
 ジゼルを探し現実世界へ向かう王子と、ナリッサ(スーザン・サランドン)の命令で2人の邪魔をしようと画策する従者のナサニエル(ティモシー・スポール)。ロバートの恋人で結婚間近のナンシー(イディナ・メンゼル)。個性豊かな登場人物の絡み合いは、やがてディズニーにあるまじき生々しい結末へと疾走するのだった。 

 面白い。
 マンションの窓からいつもそうするように動物を呼び寄せたら鳩と鼠と蝿とゴキブリが来たり、王子王子と騒いでいたジゼルがロバートに惚れてしまったり、ディズニーがディズニーを皮肉り、否定するところから始まるストーリーには、まさしく一見の価値がある。
 もちろんディズニーらしさも忘れてはいない。アニメや特殊効果は珠玉の出来だし、歌い踊るパフォーマンスも実際のディズニーランドのアトラクションを思わせる巧みさ。いい歳になってディズニーなんて、という人にこそ見て欲しい、大人のディズニー作品なのだ。

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