はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ギフテッド

2012-02-16 04:11:45 | 小説
ギフテッド (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「ギフテッド」二丸修一

「ここから飛び降りてください。以上が試験内容です」
 それが、この世界最高の、一国の総予算以上の収益を上げるほどの大企業・天子峰(てしみね)の幹部候補試験の始まりの合図だった。命綱もなく、なんのヒントもない。そんな中での高層ビルからの飛び降りというクレイジーな一次試験を突破した数十名の中に、弥助はいた。ある事情から死をまったく恐れなくなっていた彼は、11歳の天才少女・エルと共に、企業主催という前代未聞のデスゲームに挑む。
 暴力無双の教官に、品行方正なはずの後輩に、暴走族のリーダー(?)に、最高エリートに、オタクに、ナルシストに、天子峰側のスパイまでが入り混じった昇格ゲームの勝者が誰か?

 あらすじを見て「お」と思い、内容を読んで「おおっ」とうなった。
 粗さは残るものの、デスゲーム界に新星が登場したのは疑いない。
 ゲームの勝利条件が具体的に示されていない、というのがとくに良かった。自衛権と、月一万円の支給以外に何らの安全も保障されていないというところも良い。自分がゲームに生き抜き勝ち抜くために何をすべきか、候補生たちが自分で考えなければならないので、最初から最後までハラハラしきりだった。
 ギフテッド。というタイトル通り、良い意味でも悪い意味でも天才だらけなので、敵としては手ごわく、仲間としては頼もしく、交渉次第でどっちに傾くかわからないというシチュエーションに燃えた。
 キャラも良い。感情の薄い主人公と朗らかなエルのコンビは見てて和むし、ヒロイン(?)の綾芽の裏の顔は、近年稀に見る秀逸さ。続編も出せるような引きだったし、キャラ相関的にも今後に大いに期待できる。
 惜しむらくは一次選抜の試験内容か。たしかに引きはいいけど「ウソだろ?」と思わずにいられなかった。主人公、疑り深いのが売りのくせに、あっさり他人に命を委ねてしまうのはどうなの? いかにも「作者が飛ばせた」臭がして嫌だった。他にも、随所に「作者の都合による行動」が多かった。このキャラがこの状況でこんなことしないだろ、というのが頻発した。ささいなことではあるのだけど、無視していいことでもないので、適宜修正していってもらいたい。


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