はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

武士道エイティーン

2009-11-19 18:44:48 | 小説
武士道エイティーン
誉田 哲也
文藝春秋

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「武士道エイティーン」誉田哲也

 シックスティーン、セブンティーンときて、最新作はエイティーン。わざわざ説明するまでもなく、登場人物たちの成長に合わせている。現代の武士を目指す磯山香織と、ゆる~く剣道を嗜む甲本早苗。18歳になり、進学か就職か、剣道を続けるか辞めるかで心揺れる2人の戦友の青春模様……だけではない。
 今回は香織早苗の2人だけではなく、それ以外のキャラ主観も含めた短編集の体裁だ。早苗の姉でモデルの緑子。早苗の部活の恩師? 吉野先生。香織の師・桐谷道場の桐谷玄明。香織の後輩・田原。脇役たちの立場心情を描き地固めする事で、世界観を深めることが狙い……なんだと思う。ということは、もっともっと続編を出す狙いがあるのかしら。そうだと嬉しい。好きなシリーズなので、もっともっと読みたい。最終章の書き方を見る分には、これで最後でもおかしくないのだが……。
 で、肝心の内容なのだけど、どの話も香織早苗の一人称ほどのキレがない。鬱展開も多いし、地固め以上のプラスアルファはなかった。
 しかし、香織早苗の出番になると、とくに香織が登場すると、途端に面白くなる。おおげさでなく、世界に色がついたよう。内心も言動も武士そのものの香織の魅力。彼女の世界。この牽引力は、読んでみなければわからない。未読の方は、是非シックスティーンから。

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